T2と三菱地所が国内初、自動運転トラック使った物流施設の「建物内走行」実証

T2と三菱地所が国内初、自動運転トラック使った物流施設の「建物内走行」実証

次世代基幹案件への実装目指す

T2と三菱地所は8月21日、T2が2027年の開始を目指している「レベル4」自動運転(特定の条件下で完全自動運転)トラックによる幹線輸送を見据え、物流施設における「建物内の走行」の実証を7月に始めたと発表した。

両社によると、同様の実証は国内で初めてという。今年9月までの間、三菱地所グループの東京流通センター(TEC)が東京都大田区平和島に構えている物流施設を使い、「建物内走行」で必要となる技術の有効性を確認している。

両社は三菱地所が全国主要都市圏への展開を計画している、高速道路ICに直結した「次世代基幹物流施設」、T2のレベル4自動運転トラックを運行する上での発着拠点と定め、技術的な難易度が高いとされる「建物内走行」を可能にすることで、基幹物流施設内で荷物の積み下ろしを行う「バース」から別施設の「バース」までの間、無人状態で輸送できるようにしたい考え。

T2は「物流2024年問題」を背景にしたトラックドライバー不足の深刻化などの物流危機に対し、ドライバーの乗車を必要としないレベル4自動運転トラックによる幹線輸送を実現するため、7月にドライバーが乗車の上でハンドルから手を放す「レベル2自動運転」トラックを用いた商用運行を開始した。

三菱地所は京都府城陽市、仙台市、横浜市の3カ所で、レベル4自動運転トラック、ダブル連結トラックなどの次世代モビリティによる幹線輸送の受け入れ拠点となる基幹物流施設の開発を進め、その活用を通じた物流効率化への貢献を狙っている。

両社は23年6月に資本・業務提携して以降、高速道路上に加え、基幹物流施設内でも無人状態でのトラックの運行を可能にすることで、さらに輸送の円滑化・省人化につながると考え、レベル4自動運転トラックが建物内を走行できる環境整備や技術開発に取り組んできた。有効性を確かめるため、実証に踏み切ることにした。

本実証を経て、今後、T2のレベル4自動運転トラックによる幹線輸送と三菱地所が開発する基幹物流施設を融合させ、持続可能な物流の実現および効率的な輸配送による環境負荷低減を実現していくことを目指す。

建物内走行の技術検討はT2、三菱地所、三菱地所設計、三菱地所パークスが共同で展開し、三菱地所は建物内自動走行の特有技術で各特許を出願しているという。


横浜市の基幹物流施設のイメージ

自動運転トラックは車両の自己位置を推定するためにGNSS(全球測位衛星システム)の情報を使うが、建物内は同情報の受信が困難となることが課題だった。実証では、物流施設内の高精度3次元データと、T2のトラックに搭載した高性能レーダー「LiDAR」から得た情報を照合し、建物内走行に必要な自己位置の推定が技術的に可能かを確認する。


実証中のレベル2自動運転の様子

第一段階として本年7~9月にT2のレベル2自動運転トラックを用い、同一フロア上の直進走行を、次の段階として2026年よりランプウェイなども含めた複数フロアをまたがる走行およびバースでの発着もできるかどうか技術検証を進め、基幹物流施設への実装を図る。

(藤原秀行)※いずれも両社提供

物流施設/不動産カテゴリの最新記事