ロジスティード・中谷CEO、27年度の再上場目指す方針表明

ロジスティード・中谷CEO、27年度の再上場目指す方針表明

30年度の「連結収益1.5兆円」達成道筋明確化が前提、海外のフォワーダーM&Aに意欲

ロジスティードは9月26日、東京都内でメディア向けの事業説明会を開催した。

中谷康夫会長兼社長CEO(最高経営責任者)は、中長期的な経営ビジョン「LOGISTEED2030」で掲げている、2030年度に連結収益(売上高に相当)1.5兆円の目標達成のため、買収したアルプス物流との連携強化による3PL事業の基盤拡充、海外での物流需要獲得に引き続き注力する姿勢を示した。



また、筆頭株主の投資ファンド、KKRと組んで目指している再上場の時期について、早ければ27年度の達成を視野に入れていることをあらためて明らかにした上で「『30年度に1.5兆円』の道筋を付けていかないと27年度の再上場にはならないと思う」と述べ、収益目標の達成を確実にすることが再上場の前提になると強調。

「再上場のハードルは高くなっている。一番重要なのは外国の投資家の資金をどう入れていくか。関心を持ってもらうにはグローバルのコンペティターを視野に入れた数字を作っていかないといけない」と語り、海外投資家に評価されるためのグローバル事業拡大が不可欠と指摘。グループの営業利益率を現状の5%台から6%に引き上げていく必要があるとの見方を示した。


説明会に登壇した中谷CEO

「アセットライトで環境厳しくなる認識はない」

中谷CEOは今年2月に公表した、グループで保有している国内の物流センター33カ所をJリートの産業ファンド投資法人などに一括売却した件について「(保有資産の適正化を図る)アセットライトの戦略は(海外投資家から評価される上で)一丁目一番地のところ。まずこれをやり切って一歩前に進んだと思っている」と狙いを説明。

「海外でトップ5に入るくらいの会社の財務体質を視野に入れていかない限り、なかなか海外の投資家に関心を持ってもらえない。そこがこのタイミングで再上場にチャレンジする一番の難しさだと思う」と語った。

KKRとの関係については「われわれの業界を十分理解していただいている。KKRがわれわれの執行側と議論することはほとんどない。一方でKKRから支援をたくさん受けている。アセットライトもそうだが、グローバルでわれわれがコンペティターと対峙するにはどうすればいいかというアドバイスはいっぱいもらっている」と解説。



「かつてこんな会社がグローバルな会社だと思っていたことに意外と短時間で向かっていけるのは、KKRのサポートと一定のプレッシャーがなければなかなかできなかった」と評価した。

収益規模拡大の上で海外企業をM&Aする可能性については「常時、いいところがあればと思っている。一番手に入れなければいけないのはやはりフォワーディングのところだ。スケールをどれだけ追求していくかという部分が重要。M&Aを考える上ではフォワーディングが最初に念頭に置かないといけないと思っており、その可能性はいつも追求している」と語った。

アセットライト戦略が倉庫の賃料など様々なコストアップの影響を受けると見込まれることについては「アセットライトによってわれわれのビジネス環境が厳しくなるという認識はない」と明言。

同席したロジスティードの林伸和副社長は「(アセットライト戦略でも)相場から外れたコストで勝負しようとしているわけではない。サービスの品質をきちんとした上で(コストアップを織り込んだ)相場のコストをきちんといただくということに変わりはない。それがグローバル企業だと思っている」と述べた。

アルプス物流と連携強化、拠点相互活用などで成果

西川和宏副社長は国内事業について、3PL市場の成長が続く中、アルプス物流と組むことでサプライチェーンの全領域で物流サービスの高付加価値化を図ることができるとアピール。具体的には、工場の新設や設備更新をサポートしたり、ロジスティードの3温度帯輸送を活用して食品や化粧品などの取り扱い拡大を図ったりすることを挙げた。

また、アルプス物流との協創を進めるプロジェクトチームを設置していることに触れ、物流拠点の相互活用や輸配送ネットワークの共用などで成果を着実に上げているとPR。今後は電子部品の大型3PL案件受注、インドの半導体ビジネス新規開拓、情報システム統合などを促進する計画を示した。




西川氏

クリストファー・ローガン副社長は国際事業に関し、米トランプ政権の関税引き上げの動きが経営に及ぼす影響について「当社はアジアを中心に事業を進めている。アジアは引き続きグローバルサプライチェーンの中核を占める。使われる経路が変わることがあっても、アジアが発信地になることは変わらない」と述べ、現状で大きな影響はないと分析。

営業戦略を担う川北剛史執行役員は、「日本で勝ち、世界で伸ばす」との基本方針に則り、営業開発本部とグローバル営業開発本部、フォワーディング事業戦略本部が一体となり、3PLに加えてフォワーディングも積極的に営業していくスタンスを解説した。

また、重要顧客に対する「顧客戦略」を策定するグローバルアカウントプログラムにより注力すると明言。既存顧客のニーズをより細かく把握して結び付きを強め、売り上げを維持するとともに新規顧客獲得も並行して進めるシナリオを描いてみせた。

DXを手掛ける芳賀寛執行役員は、顧客のサプライチェーン全体の可視化を図ることで様々な環境変化を考慮したシミュレーションを実施し、将来の戦略立案を支援していく方針を提示した。


(上から)ローガン氏、川北氏、芳賀氏

(藤原秀行)

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