3年以内に50以上の国・地域に拡大目指す
メルカリは9月30日、越境取引の拡大に向け、世界各地で使える共通のスマートフォン用アプリ「メルカリ グローバルアプリ」の提供を開始すると発表した。
併せて、国内事業者向けの越境EC基盤強化も図る。円安などで日本の商品を海外に販売する越境取引のニーズが今後も伸びるとみて、対応を拡充する。
「グローバルアプリ」は同日、台湾と香港で提供を開始した。今後、展開する国・地域を順次拡大する。
メルカリは中期的な経営戦略としてグローバル展開に力を入れており、その一環として2019年に越境EC事業者との連携を通じた越境取引事業をスタートした。24年8月に台湾、今年5月に香港でそれぞれ、Web版の「メルカリ」の提供を始めている。
越境取引事業の流通総額は過去3年で15倍以上に成長し、年間900億円を超える規模に拡大している。
世界の越境ECの市場規模自体も膨らんでおり、経済産業省の推計では24年の1.01兆米ドル(約151兆円)から34年には6.72兆米ドル(約1010兆円)まで拡大、25年から34年の年平均成長率は約23.1%と見込んでいる。
こうした背景を踏まえ、メルカリは越境取引事業の新たな戦略を策定した。まず海外の購入者と日本国内の事業者の双方の体験を向上し、よりかんたんかつ安心・安全な取引環境構築を実現する。
達成に向け、2本の柱を掲げており、第1に迅速なグローバル展開を可能にする世界共通のプラットフォーム「メルカリ グローバルアプリ」(グローバルアプリ)の提供、第2に国内事業者の海外展開を支援する「メルカリ グローバルEC基盤」をそれぞれ設定している。
越境取引事業の拡大に際しては、特に世界的に人気の高い日本のエンタメ・ホビー領域に注力する。予約販売やオークション機能など、エンタメ・ホビー領域の取引を促す機能を順次導入し、コンテンツの権利元企業とも連携しながら、購入者・事業者双方にとって魅力的な取引体験の提供を目指す。
海外の購入者は「グローバルアプリ」を通じて日本の「メルカリ」と「メルカリShops」の商品を閲覧・購入することが可能。言語や決済、複雑な手続きなどのハードルを解消し、海外の購入者は日本の「メルカリ」と同様に容易に、かつスムーズに商品を購入できる。
AIによるリアルタイム翻訳機能に加え、各国や地域の通貨や決済方法に対応。言語や通貨の違いによるストレスの解消に努めている。
また、配送先の国・地域に最適化した配送方法で、確実・安全に届けるよう配慮。26年1月以降は、発送前にメルカリが全ての商品をチェックして品質を保証する「全品検品」を導入し、決済から配送状況の追跡までの全プロセスをアプリ上で完結できるようにする。
(アプリの画像はイメージ。機能、UIは9月30日以降順次アップデートする予定)
「グローバルアプリ」は魅力的な商品のラインアップを増やし、プラットフォームの魅力を拡大させるために、国内事業者の出店を促進する。日本国内のマーケットプレイス運営で培ったメルカリのノウハウを活かし、越境ECの専門知識や経験がない事業者の海外展開を支える「グローバルEC基盤」を構築する。
「グローバルEC基盤」は日本の「メルカリShops」の操作で、海外の購入者へ商品を販売できる上、設定・申請などの特別な対応は不要にしている。
多様な海外決済への対応、複雑な国際配送・通関手続き、外国語での顧客対応といった、専門知識を要する煩雑な業務を全てメルカリが機能でサポート。決済はStripe、配送は佐川急便などと連携し、確実に実施できるようにする。
26年上半期からはパートナー連携による「あんしん鑑定」を導入する。
「グローバルアプリ」は26年春に米国でも提供を始める計画。3年以内に50以上、中長期的には100以上の国・地域へ広げていくことを想定している。
(藤原秀行)※いずれもメルカリ提供