JILS調査、輸送費の上昇際立つ
日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は10月31日、2025年度の物流コスト調査結果の速報版を公表した。調査結果は原則として24年度の実績値を示している。
回答企業の売上高に占める物流コストの比率は全業種平均で5.36%(有効回答数196社、速報値)となり、前年度調査結果から0.08ポイント低下した。
前年度の実績を下回ったのは23年度以来、2年ぶり。ただ、ここ20年間では4番目に高い比率だった。
JILSは「物流事業者からの運賃・料金値上げ要請や労働力不足による人件費高騰を背景に、売上高物流コスト比率は長期的な上昇傾向にあり、直近では高水準で推移していると考えられる」と分析。従来の基本的な見解を維持した。
また、物流費の各要素について動向を聞いたところ、特に輸送費の上昇が他の費目より上昇している傾向が強く見られた。「物流2024年問題」やトラックドライバー不足などが影響していることが示された。

(JILS資料より引用)
23年度調査にも協力し、比較が可能な130社ベースで見ると5.75%で、23年度から0.03ポイントの微増となった。
JILSは「指数の動向を分析したところ、24年度を対象とした指数は物流単価・販売単価ともに上昇したが、物流単価の伸びが販売単価を上回ったことで、売上高物流コスト比率の上昇につながったことが確認された」と指摘した。
業種別の推移を見ると、製造業(136社)は5.26%で前年度から0.11ポイント低下。卸売業(35社)は0.38ポイント上昇し5.57%、小売業(21社)は0.71ポイント下がって5.67%だった。
一方、2年連続回答した企業に絞ると、製造業(90社)は0.03ポイント上昇の5.81%、卸売業(26社)は0.11ポイント上昇の5.48%、小売業(11社)は0.22ポイント下落の5.73%だった。
売上高・物流量・物流コストのそれぞれの動向を見る指数を算出した結果、25年度の見通しについては、販売単価の伸びが鈍化する一方、物流単価は引き続き高い伸びが見込まれ、売上高物流コスト比率が大幅に増加すると予想されている。
外部に支払った物流コスト内訳の平均単価の傾向を聞いたところ、輸送費(177社)は単価増加と答えたのが88.1%で、横ばい(9.1%)や減少(2.8%)を大きく上回った。
保管費(157社)はそれぞれ54.8%、40.1%、5.1%、包装費(138社)は50.7%、43.5%、5.8%、荷役費(155社)は67.7%、29.7%、2.6%、物流管理費(129社)は39.5%、55.1%、5.4%。輸送費の上昇傾向が際立った。
(藤原秀行)
          
		  	      
      

