【独自取材】ホワイト物流、製造業の5割弱が「独自の取り組み」提示

【独自取材】ホワイト物流、製造業の5割弱が「独自の取り組み」提示

“共同化”3分の1占める、中継輸送や休日輸送見直しも複数回答

政府が物流事業者や荷主企業と連携してトラックドライバーの就労環境改善などを図る「ホワイト物流」推進運動について、ロジビズ・オンラインは8月23日時点で国土交通省が取りまとめた賛同を表明している全国の荷主企業・団体のうち、主要業種の製造業と卸・小売業がそれぞれ同運動事務局に提出した自主行動宣言を独自に集計した。

同宣言で必須項目となっている全体の取り組み方針と法令順守への配慮、契約内容の明確化・順守の3点以外に、「独自の取り組み」を挙げた企業は、製造業が48・6%に上り、ほぼ過半数となった。卸・小売業の17・6%と開きが見られた。

製造業が回答した独自の取り組みを見ると、全体の3分の1に相当する12社が共同配送など物流の共同化を盛り込み、他社と物流効率化で連携することへの意欲が高まっていることをうかがわせた。また、トラックドライバー不足を反映し、中継輸送の導入など輸配送を見直そうとする向きも複数あった。

集計は必須項目以外の選択結果を明示している企業を対象に実施。同じグループに属する企業が複数あった場合もそれぞれ回答を集計にカウントした。集計対象の企業・団体数は製造業が74社、卸・小売業が34だった。

「製品包装の収納率10%向上」「車庫単位で配送休業日導入」も

製造業の回答では、「調達部品の共同輸送(調達物流改革)」(トヨタ自動車)、「共同物流の推進」(昭和電工)、「共同配送(輸送含む)およびモーダルシフト」(サッポロビール)、「トラック輸送の生産性向上(共配検討)」(アサヒグループホールディングス)など、“共同化”のキーワードが随所に登場した。

また、「定時定量発注と中継輸送」(サンスター)、「中継SPの設置」(昭和電工)、「中継物流拠点の設置」(アサヒビール)など、長距離輸送の負荷軽減へ中継輸送の導入をうたっている企業も複数存在した。花王や東北旭段ボールは休日輸送の削減を打ち出した。

他にも、
・「発荷主からの入出荷日付情報の事前提供による荷さばき、検品作業の効率化」(キユーピー)
・「ポストイン(小型)配送への協力」(オルビス)
・「トラックの工場滞在時間短縮」(住友ゴム工業)
・「台数早期確定」(花王)
・「生産システムの見直し」(リンナイ)
・「輸送委託システムの構築」(IHIジェットサービス)
・「返品削減」(小林製薬)
・「受注締め切り時刻の繰り上げ」(大陽日酸)
・「製品包装の収納率を10%向上」(アルプスアルパイン)
――といった意欲的な項目が並んだ。

一方、卸・小売業では、
・「女性や60代の運転手を含む多様な人財が活躍でき、かつ働きやすい労働環境の実現」(トヨタ部品富山共販)
・「入荷検品レス」(加藤産業)
・「車両大型化、車庫単位での配送休業日を導入」(コスモ石油マーケティング)
・「物流他企業との協働化」(トライアルカンパニー)
・「配送車両動態管理システム導入」(トヨタ部品大阪共販)
・「出荷の平準化」(キヤノンマーケティングジャパン)
――とバラエティーに富んだ内容がそろった。

(藤原秀行)

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