英政府が最悪の事態想定した文書の概要公表、医薬品不足も
英国政府はこのほど、同国が欧州連合(EU)から合意なく離脱した場合の影響に関する文書の概要を公表した。
英国の主要メディアが報じたところなどによると、最悪の事態を想定しており、国境で通関の手続きに時間を要することなどから物流が混乱。英仏海峡を渡る貨物の輸送量は離脱前の5~7割の水準まで回復するのに最長で3カ月を要すると予想するとともに、そのあおりで医薬品の供給量が大きく落ち込むとの見方を示している。
文書は現在のジョンソン政権発足直後の8月2日付で作成。英国メディアは事前に、内部文書の存在を大々的に報じていた。議会で文書公開を求める動議が可決されたのを受け、概要の公開に追い込まれた格好だ。
報道などによると、文書は英仏海峡を通るトラックの多くが税関の審査に不慣れで手間取り、横断に最長2日半かかるケースもあると予測。生鮮食料品の供給が減少するため品ぞろえが悪化し価格も上昇、燃料の流通にも支障を来すとの見方を占めている。
物流以外の面でも、抗議行動が発生して警察が対応に追われるなどのリスクがあると指摘している。
(藤原秀行)