総務省消防庁が研究成果を公表、一定の条件提言
総務省消防庁はこのほど、倉庫などの火災時にドローン(無人飛行機)を遠隔操作で屋内に侵入させ、カメラなどで内部の情報を収集できるかどうかに関する研究成果の報告書を公表した。消防隊員の危険を減らすのが狙い。
市販のドローンを4種類用いてテストした結果、一定の設定が必要なものの、「実用レベルでの活用ができる。各消防本部などで本研究結果を用いることで、すぐにドローンの導入および屋内空間での活用が可能となる」と結論付けた。
報告書は同庁内でドローン運用を進めるとともに、「産業界へ消防活動現場のニーズを拡散することで、国内の消防活動支援器材としてのドローンの最適化を支援する」と期待を表明している。
報告書によると、検証の際、市販のドローンを倉庫や複層階の建物、地下通路、コンサート会場を想定したスペースでそれぞれ飛行させた。
その結果、判明した課題としては、扉や階段、棚の間、通路といった狭い場所を通過する際、衝突回避センサーが作動して機体を制動させるため、事前にセンサーを無効にする必要があったと指摘。飛行時にドローンの翼が回転することで生じる空気の流れ「ダウンウォッシュ」が周囲の空気をかくはんさせるため、「特定箇所で発生した少量のガスを検知するのは困難」との見方を示した。
しかし、突然炎が上がっても、フライトコントローラーが異常を起こしてすぐに暴走することはなかったことなどを踏まえ、十分利用は可能と判断している。
検証結果から、事前に必要な機体設定として、前後左右の障害物回避センサーのスイッチをオフにするほかは、位置画像センサーや上下の障害物回避センサーなどを活用するよう提言。プロペラガードや広角カメラ、リアルタイム映像伝送装置、電波中継器などの機能を持たせる必要があることにも言及している。
検証の様子(総務省消防庁報告書より引用)※クリックで拡大
(藤原秀行)
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