【独自取材】SGHDグループのEC事業者向け「物流シェア拠点」、24時間稼働の自動倉庫確立へ

【独自取材】SGHDグループのEC事業者向け「物流シェア拠点」、24時間稼働の自動倉庫確立へ

佐川グローバルロジが棚搬送ロボットやAGV、自動梱包機も設置

SGホールディングス(HD)が東京・新砂で大型物流拠点を建設、稼働させる事業計画「Xフロンティアプロジェクト」は、佐川急便をはじめグループ主要4社が入居し、物流機能を大幅に強化することを目指している。主要な機能として、中小のEC事業者にロボットや先進マテハン機器を提供、利用した分だけ料金を支払う仕組みを取り入れ、事業拡大をサポートする「シェアリング・フルフィルメントサービス」を展開する計画だ。

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SGHD傘下で3PL事業などを手掛ける佐川グローバルロジスティクス(SGL)が同サービスを主導。現状では自動倉庫システムやAGV(無人搬送機)、自動梱包機、棚を搬送してピッキング作業を支援する物流ロボットなどを導入する方向で準備しており、24時間稼働可能な倉庫機能を確立する予定。「物流のシェアリング」が定着するかどうかを占う1つの試金石となりそうだ。


大型物流拠点の完成イメージ(SGHD提供)

稼働状況見ながら全国展開も検討

新拠点は東京・新砂の佐川急便東京本社に隣接したエリアで建設が進んでいる。地上7階建て(物流棟は4階建て)、延べ床面積は約17万1300平方メートルで、2020年2月の完成を見込む。SGLに加えて、佐川急便や大型貨物輸送などのSGムービング、国際物流のSGHグローバル・ジャパンが活用する予定。

このうち、シェアリング・フルフィルメントサービスを担う「プラットフォームセンター」は3階の延べ約3万平方メートルのフロアに設置する。現状では、オカムラが取り扱っている自動倉庫システム「AutoStore」を導入するとともに、ギークプラスの自動搬送ロボット「EVE」シリーズを40台超採用。さらに、カナダ・クリアパスロボティクスのAGV「OTTO」、イタリア・CMCの自動梱包機「CartonWrap」なども取り入れる見通しだ。

各機器や自動倉庫の保管スペースなどをEC事業者が共同利用する仕組みを構築。スタートアップ企業でも多額の初期投資をせずに事業拡大を目指せるようにするのが狙いだ。荷物1個当たりの従量課金制を設定する方向で調整している。

さらに、東京都心という優れた立地を生かし、佐川急便やSGHグローバル・ジャパンと連携して国内外への出荷効率化にもつなげていく構想を描いている。


プラットフォームセンターに導入するギークプラスの「EVE」シリーズ(SGL提供)

SGLは新拠点に先立ち、埼玉県蓮田市の蓮田営業所に、同様のEC事業者向けプラットフォームセンターを新設。11月28日にメディアへ公開した。やはりギークプラスの「EVE」シリーズを32台使用し、在庫管理や出荷業務を効率化する。SGL自身にとっても作業効率向上につながるのがメリットだ。

近隣に所在している佐川の大型営業所ともタッグを組み、配送面でもEC事業者のニーズにきめ細かく対応していくことを想定。輸配送と在庫管理の双方でコスト抑制をサポートしていこうと考えている。

同営業所内で記者会見したSGLの林弘志取締役は「ロボットを物流センターに入れるメリットは、これから誰でも優しく働いていただけるようになること。物流現場に求められるニーズもより細かくなってくるので、その1つの回答がこういう(ECプラットフォームセンターのような)在り方だと思う」と説明。「化粧品や文具、パーツや工具などが可能とみている」と指摘し、多様なEC事業者に提供したいとの意気込みを見せた。

「Xフロンティア」の新施設にも言及した上で、「まずは蓮田とXフロンティアをモデルにベースを作り上げ、稼働状況を見ながら全国への展開を考えていきたい」と強調している。


埼玉・蓮田の「ECプラットフォームセンター」に並ぶ保管棚

(藤原秀行)

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