コロナショックで打撃、世界金融危機当時を上回る可能性大か
世界貿易機関(WTO)は4月8日、新型コロナウイルスの感染が世界各地で拡大しているのを踏まえ、2020年に世界の物の貿易量が前年から最大32%減少するとの予測をまとめた。
大幅な需要減退やサプライチェーンの混乱が響くと分析。世界金融危機に見舞われた09年(12%減)を超える可能性が大きいとの見方を示している。
予測は「悲観的なシナリオ」と20年後半から経済が持ち直す「楽観的なシナリオ」の2種類を作成。悲観的なシナリオの場合に20年の貿易量が前年から32%、楽観的なシナリオでも13%それぞれ減少すると見積もった。いずれのシナリオでも地域を問わず、大幅な落ち込みを記録するとみている。
一方、21年に関しては、悲観的なシナリオでは20年から24%、楽観的なシナリオでは21%それぞれ増えると予想しており、急激に回復する姿を想定している。
WTOのロベルト・アゼベド事務局長は「これらの数字はひどいものであり、回避することはできないが、急速で激しい回復は可能だ。足元の決断が回復の将来の形と世界的な成長見通しを決定する」と語り、各国政府が連携して対策を早急に講じるよう訴えた。
(藤原秀行)