米連邦航空局が承認、コロナ対策で往復32~48キロメートル範囲内に物資届ける計画
米国の医療法人ノバントヘルス(ノースカロライナ州)は5月27日、ドローン(無人飛行機)を使った医療物資の長距離輸送サービスを同国で始めると発表した。米連邦航空局(FAA)から承認を得た。米国では初めてという。新型コロナウイルスの感染阻止へ対応に追われる医療機関を支援するのが狙い。
ノースカロライナ州カナポリスにあるノバントヘルスの物流拠点に隣接してドローンの離発着拠点を整備。まず往復で20~30マイル(約32~48キロメートル)の範囲内にある病院に医療物資を届ける。指定された場所でドローンからパラシュートを付けて物資を落とす。ノバントヘルスは人が輸送に極力介在しないため、感染のリスクを最小限に抑えられるとみており、輸送時間も陸路より大幅に短縮できると想定している。
ドローン輸送に関しては、機体開発などを手掛けるスタートアップ企業の米ジップライン(カリフォルニア州)と連携。同社が開発したドローンは最大4ポンド(約1・8キログラム)までの荷物を搭載し、飛行スピードは時速80マイル(約130キロメートル)、往復で100マイル(約160キロメートル)の飛行が可能という。
2014年に発足したジップラインはアフリカのルワンダで輸血用血液の輸送をドローンで行うなど海外で実績を重ねており、ノウハウを米国でも生かせると見込む。ノバントヘルスとジップラインは今後2年間、輸送を続けて対象地域をノースカロライナ州全体に拡大するとともに、病院に加えて患者の自宅などにも物資を届けられるサービスとして確立していくことを目指す。
ノバントヘルスとジップラインによれば、現在の米国でのドローン輸送は平均で500フィートから1・5マイル(150メートル~2・4キロメートル)にとどまっており、初の本格的な長距離ドローン輸送となる。
(藤原秀行)※写真はイメージ