日産自動車が固定費3000億円削減目指す構造改革計画を発表、物流も大きく変化か

日産自動車が固定費3000億円削減目指す構造改革計画を発表、物流も大きく変化か

23年度まで対象、グローバル生産能力2割削減、業務効率化と収益性重視

日産自動車は5月28日、事業の大規模な構造改革を盛り込んだ2023年度までの4年間を対象とする中期経営計画を発表した。

新型コロナウイルスの感染拡大による自動車の新車需要急減など厳しい経営環境を踏まえ、持続的な成長と安定的な収益確保を重視。2020~23年度の4年間で不採算事業や余剰設備を整理するほか、生産能力の最適化や商品ラインアップの見直しなども進め、固定費を3000億円削減することを目指す。

同社の内田誠社長兼CEO(最高経営責任者)は「今回の計画の狙いは、過度な販売台数の拡大は狙わずに収益を確保しながら着実な成長を果たすこと、自社の強みに集中し、事業の質と財務基盤を強化すること、そして新しい時代の中で『日産らしさ』を取り戻すことだ」と強調した。生産拠点の閉鎖などを伴うだけに、物流に関しても国内外で大きく変化しそうだ。

中国の合弁企業を50%比例連結したベースで23年度末に営業利益率5%、マーケットシェア6%レベルとなることを想定している。

具体策として、計画期間中、グローバルの生産能力を20%削減し、通常シフトで年間540万台体制に移行。工場の稼働率は80%以上とし、事業運営で収益性を高めていくことを狙う。

スペインのバルセロナ工場は閉鎖に向け調整を進めるほか、北米の各工場は生産車種をセグメントごとに集約、生産効率を改善する。インドネシア工場も閉鎖し、タイに集約。アライアンスパートナーのルノーと生産設備などの経営資源を共有する。

「選択と集中」として、日本と中国、北米の3エリアをコアマーケットとして集中。南米やASEAN(東南アジア諸国)、欧州はルノーの経営資源を生かし、適正規模で事業を運営する方針に切り替える。

韓国やロシアのダットサン事業からは撤退し、ASEAN地域の一部マーケットでも事業を縮小。同時に、電気自動車やスポーツカーなどをグローバルなコアモデルセグメントとして集中的に投資する。

新型車の投入は今後18カ月で12種類を予定。23年度までに電動化技術を搭載した車を100万台以上販売したい考えだ。また、日本は電気自動車(EV)2車種とe-POWER搭載車両4車種を追加、販売に占める電動化率を60%以上に高める。

さらに、先進運転支援技術「プロパイロット」を23年度末までに20の市場、20以上の商品に適用、同技術を搭載した車の年間販売台数を150万台以上に引き上げる。

(藤原秀行)

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