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資本・業務提携「日本社会にとっても歴史的な1ページ」

資本・業務提携「日本社会にとっても歴史的な1ページ」

楽天・日本郵政共同記者会見詳報(前編)

楽天と日本郵政は3月12日、資本・業務提携で基本合意したと発表した。東京都内で両社首脳が同日、記者会見した内容の詳報を前後編に分けてお伝えする。

「世界に類を見ない新しい提携のパターン」

▼冒頭発言

国際物流総合展2021 第2回 INNOVATION EXPO

日本郵政・増田寛也社長
「昨年12月に、物流領域における戦略的提携に向け基本合意した後、さらに検討、協議を重ねてきたが、本日、物流、モバイル、DXの分野において業務提携し、今後詳細を協議すること、また両グループの関係を強化するため、日本郵政が楽天に約1500億円出資することについて合意した」
「全国に展開する郵便局、そして強固な物流網というリアルネットワークを強みとしている日本郵政グループにとって、先進的なデジタル技術と豊富なノウハウを生かし、さまざまな事業領域においてインターネット関連サービスを提供されている楽天グループは、私どもにとって最高のパートナー。今般の資本・業務提携は両グループの関係をより強固なものとし、今後幅広い領域でさまざまな協業を強力に進める原動力になると大いに期待している」
「協業を通じてデジタルとリアルという、相補う双方の特徴、強みをうまく掛け合わせることにより、提携のシナジー効果を最大限引き出し、お客様に喜んでいただける新たな価値を創出していく。両グループは引き続き、関係のさらなる進化の可能性について幅広く検討していく」
「なお、業務提携については今後、本日の合意事項以外に金融、ECなどの分野を含めて、両グループの企業価値向上に資する戦略的な定型についてさらに幅広く検討し、4月いっぱいをめどに、合意できたものについてはあらためて報告させていただく」

楽天・三木谷浩史会長兼社長
「まずは増田社長、衣川(和秀・日本郵便)社長、日本郵政グループのステークホルダーの皆様には、本日はこのような歴史的な資本業務提携を決定していただき、本当に感謝申し上げる。楽天グループは1997年に創業した会社。さまざまなインターネットビジネス、メディアビジネスなどを国内外で展開してきた。そのようなベンチャー企業が、おそらく郵便事業は最も古いビジネスだと思うが、そのような歴史のある、そして日本全国にネットワークをお持ちの日本郵政さんとこのような形で戦略的パートナーを結べるというのは、世界に類を見ない新しい提携のパターンと思っている」
「まず、昨年12月に発表させていただいた物流領域における戦略提携、ここにとどまることなく、先ほど増田社長がおっしゃった金融分野、モバイル事業などでもさまざまな提携を今後深めていきたいと思っている」
「楽天は今、70以上の事業を日本の中で展開しており、いわばオンラインが中心だが、そのリアルで圧倒的なネットワークをお持ちの日本郵政さん、日本郵便さんとタッグを組み、親戚関係になるのは、ある意味、日本のビジネス界、産業界、そして日本の社会にとっても歴史的な1ページになるのではないか」
「コロナ禍によって、本当にもう、今まで以上にデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速している、それから社会がもうインターネットがなくてはやっていけない時代に突入したというところ、一方で実際にはさまざまな形で地方をいかにエンパワーメントしていくかが極めて大切になっていく、そして楽天は1997年の創業精神に立ち戻り、とにかく地方の経済をエンパワーメントすることを今後も続けていきたいと思っている」
「その傍らで、やはりグローバライゼーションがどんどん進んでいる。GAFAを中心に世界的なITの力が非常に巨大になっている中、いわばリアルとバーチャルの2つの大きな力が合わさって新しい形をつくっていけるということに私自身もワクワク、ドキドキしている。これからさまざまな形で日本郵政さんと、ここで発表されたこと以外も含め、さらに大きなパートナーシップが組めるよう、われわれは社員一同、頑張っていきたい」

「物流DX、共同事業化を柱に検討」

楽天・古橋洋人常務執行役員CEO(最高経営責任者)戦略イノベーション室長
「今回の提携に関してご説明をさせていただく。まず今、増田社長と三木谷からもご説明させていただいたが、ビジョンという部分。日本郵政グループさんは全世帯へのアクセスをお持ちで、かつリアルネットワークとしての郵便局が全国に約2万4000局ある。また、サービスについても貯金口座の1・2億円をはじめとして、多方面で展開されている。つまり、オフライン、リアルでの圧倒的なプレゼンスをお持ちだ」
「われわれ楽天は世界に類を見ないようなオンラインのエコシステムを構築していると考えている。国内は1億以上のIDを持つ顧客基盤、それから累計やポイントについても2兆を超えている。また、サービスも70以上にまたがり、ECの流通総額は国内では4・5兆円に至り、フィンテックなどを含めた幅広いナンバーワンのサービスを持っている」
「この両者が組み合わさることによって、日本だけではなく世界に類を見ないようなオンライン・オフライン融合による新たな価値創造を図っていきたい。価値創造の範囲についても非常に広く捉えている。日本郵政グループさんは日本郵便さん、ゆうちょ銀行さん、かんぽ生命さんを中心として幅広いリアルでのサービス展開を中心になされている。また、楽天は今申し上げた通り、70以上のサービス、現在はコマースやモバイルに加えてフィンテックについてもキャッシュレスペイメントの領域、銀行、証券、保険と多方面にわたって提供している。こうしたオンライン・オフライン双方の強みをユーザー視点でより良い価値を提供するサービスにしていくところは幅広に考えている」
「では、具体的に本日発表する3つの領域に移らせていただく。まず物流については、昨年の12月24日に構想として申し上げているところではあるが、あらためて申し上げると、ユーザー、受け取り手からすると欲しい時に欲しい物を欲しい場所で一度に受け取れるようなサービス、また差出人、荷主さんからすると出荷のキャパシティーが拡大する、それから顧客育成、物流コスト削減につながるようなサービスが求められていることだと思っている。これを日本郵便および楽天の両社でデジタルも活用しながら実現していくのが構想だ」
「それが顧客に対して提供する価値になるが、その裏側で行うことについては、両社で例えば共同拠点とか、ドローンやUGV(無人搬送ロボット)のような次世代技術の開発を共同で行っていく。また、AI(人工知能)ルーティングや在庫の最適配置といった、データを活用したようなデジタルによるオペレーション改革も両社で共通して行っていく。最終的には物流DX、共同事業化ということを柱に考えている」
「次にモバイルについて。楽天モバイルは人口カバー率が今年の夏には96%、さらにはその先も基地局の設置を加速させていく計画。これまで、もう実は日本郵便さんとの間では基地局の設置についてご協力をいただいており、現在既に400局以上での設置が済んでおり、500局以上が(新規で)展開されることが予定されている。今般これに加えて楽天モバイルのサービスプロモーションの部分についても協業を進める」
「具体的には3月9日に楽天モバイルの累計申込者数が300万を突破したが、これは主にオンラインでの申請となっていた。ここで今回、日本郵政グループさんと協力することによって、例えば郵便局の中のスペースを活用した申し込みカウンターの設置、あるいは先ほど申し上げた全世帯へのアクセスをお持ちの、その配達ネットワークを活用し広告宣伝を行っていく、こうしたオフラインでのプロモーションあるいは顧客獲得というところで楽天グループと日本郵政グループさんの間での協議を進める。このような議論を行わせていただいている」
「3つ目は日本郵政グループのDX推進、ビジョンとして掲げておられるDX推進についても、楽天がサポートするということで今回の提携の範囲に入っている。具体的には、楽天グループからの役員クラスのデジタル人材を派遣、それからUX向上やオペレーションの改善に関しても、デジタルの活用において楽天グループからサポート申し上げるということを協議している」

「フィンテックで協業の議論を開始」

「今回3つが具体的に進んでいる話として発表させていただいたが、それ以外にフィンテックの分野でも協業についての議論を開始している。日本郵政グループさんは申し上げた通り、圧倒的な顧客基盤とチャネル展開をリアルでお持ちだ。一方で楽天については何度か申し上げているところだが、キャッシュレスペイメントの世界、それから証券、保険、銀行の全てがオンラインで大きなプレゼンスを得ている。この両社が協業することによって、先ほど申し上げたような新たな価値創造をユーザーの皆様にできるのではないかと考えて、協業の議論を進めている」
「また、物販の分野、野物流の分野は先ほど申し上げた通りだが、コマース事業においても、物販においてもオンライン・オフフランの融合を両社で進展させたいと考えている。日本郵便さんは地方創生という観点から従前よりさまざまな物販活動を行っているが、楽天市場も今回、4・5兆円を突破したが、地方創生というコンセプトを持って、さまざまな活動を行っており、この部分でもオンライン・オフライン融合の進展が可能であると考えている」
「これにとどまらず、先ほど、冒頭に申し上げたように幅広く協業は考えていきたい。考え方としては、お客様の利便性向上、それから地域社会への貢献を実現しながら、両社の事業拡大を図っていきたい」

後編:資本・業務提携「企業文化の違いが相互に刺激」

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(藤原秀行)

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