持続可能な物流の実現図る、女性が運転しやすいトラックの標準形提示も
経済同友会は6月10日、物流改革を通じた成長戦略プロジェクトチーム(委員長・山内雅喜ヤマトホールディングス会長)の2019年度提言「物流クライシスからの脱却~持続可能な物流の実現~」を公表した。
深刻なトラックドライバー不足や物流センターでの長時間の待機などの課題を踏まえ、既存の営業用トラックの生産性を高まることなどを提唱。具体的として、共同配送促進のための標準化、「翌々日納品・検品レス」の普及、女性が運転しやすいトラックの普及、外国人ドライバーの採用に向けた環境整備などを列挙した。新型コロナウイルスの感染拡大による影響については内容に反映していない。
経済3団体の一角を占める同友会が外国人ドライバーの活躍促進に言及したことで、今後経済界などで議論が加速する可能性がある。
提言は、踏まえるべき3つのポイントとして、
・物流を国家戦略として捉える
・環境への配慮
・労働時間や労働環境、待遇などを適正化した「ディーセント・ワーク」の実現
――を提示した。
その上で、
①限られた資源の有効活用と生産性向上
②新たな労働力の確保」
③実現のための組織形成・人材育成
――という3つの視点から対応を考えていく必要性を訴えた。
こうした視点に基いて整理した具体策として、
【①既存の営業トラックの生産性向上】
・共同配送実現のためハードとソフトを標準化する
・翌々日配送・検品レスを標準的な商慣行にする
・共同配送や翌々日納品・検品レスを実現するため、デジタル化のさらなる推進とデータの仕様標準化を図る
【②自家用トラックの活用に関わる規制改革】
・安全の担保・法令順守に関わる条件統一、安全・品質面を置き去りにした過度な運賃値下げに関する懸念を払拭する
・デジタルを活用した有償運送許可申請、安全管理を行う
【③大型免許を有する女性と外国人ドライバーの活用】
・女性の声を取り入れ、女性が運転しやすいトラックの標準形を示す
・外国人ドライバーを「特定技能」の対象として認める、そのための標準的な教育項目を策定する
【④国家戦略としての機関設立・人材育成】
・物流デジタル化・標準化団体の設立
・デジタル物流人材育成のために産官学が連携する
――を盛り込んでいる。
(藤原秀行)