ZMPが東京都内で準備、ヤマトや日本郵便、楽天なども
無人宅配ロボットが公道を走行して荷物を配送する実証実験を、現時点で10社以上が実施を検討していることが分かった。
政府は今年7月に閣議決定した「成長戦略実行計画」で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い宅配需要が急増、配送スタッフと対面しない非接触型の配送ニーズが高まっている中で「無人の低速・小型の自動配送ロボットを活用した新たな配送サービスの実現が期待される」と指摘。「遠隔監視・操作」型の公道走行実証を2020年中に可能な限り早く行うことを打ち出した。
規制を緩和するなど、実験実施に向けた環境整備を図っており、民間企業も将来の実用化に向けた準備を進めている。海外では中国や米国などで民間事業者が実際の配送にロボットを投入しており、日本もトラックドライバー不足が深刻な中、取り組みが急がれる。
自動走行技術の開発などを手掛けるZMPは8月18日、東京都中央区佃の高層マンションなどが立ち並ぶエリアをモデル地区に設定、自社で開発した無人宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」を活用して公道走行実験を行う準備を進めていることを明らかにした。宅配事業者らにも実験への参加を呼び掛けている。
他にも、宅配大手のヤマトホールディングスや日本郵便が東京都内で実証実験を想定しているほか、ロボットメーカーなども首都圏で大手企業と組み、独自の宅配ロボットを使った公道走行実験を展開することを目指している。
楽天も19年に神奈川県横須賀市の公園内で、中国のEC大手、京東集団が開発した無人宅配ロボットを使った配送実験を行うなど、限られた地域内でのロボット配送を重ねてきている。ロボットの実用化へさらに踏み込み、公道走行の実証実験を行うことを視野に入れている。
大手コンビニエンスストアや不動産会社、ガソリンスタンド運営会社なども実験参加に関心を寄せているもよう。政府は公道走行の実証実験の結果を基に、低速・小型の自動配送ロボットの実用化を後押しするため、早期に制度設計の基本方針を決める方針だ。
ZMPのDeloRo活用イメージ(同社ウェブサイトより引用)
(藤原秀行)