前年比2・7倍、営業赤字も15社でコロナ禍の逆風鮮明に
8月27日時点で2021年3月期の第1四半期(4~6月)決算を開示した主要上場物流企業73社のうち、売上高が前年同期より減少したのが全体の86・3%に当たる63社に達したことが、ロジビズ・オンラインの集計で明らかになった。
前年同期の20年3月期第1四半期は23社で、約2・7倍に増えた。営業利益が減少したり、赤字に転じたり、赤字が前年同期より膨らんだりした企業も56社で、前年同期の33社から増加。このうち営業赤字は15社となった。
新型コロナウイルス感染拡大による経済情勢悪化で取り扱う荷物量が縮小したことなどが収益に影を落としている実態が鮮明に示された。前期(20年3月期の第4四半期=1~3月)と比較しても、減収となった数が39社から大きく増えている。
21年第2四半期(7~9月)以降は経済活動が再開されたことから業績が持ち直すとの期待が物流業界などでも広がっているものの、どこまで回復できるかは不透明。物流企業は引き続き、経営効率化や事業基盤拡充などの判断を強いられそうだ。
売上高は6・6%の減少に、前年同期から落ち込み拡大
集計は売上高(一部企業は営業収益)と本業のもうけを示す営業利益を、各社の決算短信からピックアップした。基本的に連結決算が対象だが、一部企業は単独決算のみの公表だった。
73社の売上高を合算すると、4~6月は3兆7093億円で前年同期から6・6%減。20年3月期第1四半期の1・3%減から落ち込みが広がった。営業利益の総額(赤字の場合は全体の金額からマイナスして集計)は15・4%減の1172億円で、20年3月期の第1四半期(9・2%増)から一転して減益となった。
東京証券取引所の分類などを参考にして「陸運」「海運」「倉庫」に分けた結果、陸運33社の21年3月期第1四半期は売上高が3・9%減、海運13社は12・2%減、倉庫27社は7・6%減で、海運の落ち込みが目立っている。
営業利益は陸運33社が3・8%増、海運13社は総額で8億円余りの赤字となり、倉庫は13・1%減だった。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛でインターネット通販の利用が増えたため、宅配を取り扱っている事業者の収益が伸びたことなどが陸運分野の増益につながったとみられる。
(藤原秀行)