中堅企業は小幅にとどまる、コロナ前にはまだ遠く
日本銀行が12月14日発表した2020年12月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を表した業種別の業況判断指数(DI)は運輸・郵便業(道路旅客・貨物運送業、水運業、倉庫業など)が大企業で前回調査(20年9月)から14ポイント上昇しマイナス24と、2期半期連続で改善した。
中小企業も13ポイント上昇のマイナス28で5四半期ぶりに改善。DIは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、リーマンショック後の不景気に見舞われていた09年当時の低水準まで落ち込んでいたが、持ち直し傾向が見られる。
ただ、中堅企業は1ポイント上昇しマイナス43で2四半期続けて改善したものの、極めて小幅にとどまっており、業界内で業況改善の度合いにばらつきがあることをうかがわせた。コロナ前の水準にはまだ遠い状況だ。
先行きの見方に関しては大企業がマイナス21、中堅企業がマイナス37、中小企業がマイナス31。新型コロナウイルスの感染が再び広がっていることなどが心理改善の重しになっているようだ。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出。全国の運輸・郵便業など製造業、非製造業の計9507社が調査対象で、99・5%が回答した。
全産業ベースの業況判断DIは前回調査から13ポイント上がってマイナス8だった。このうち大企業製造業は17ポイント上昇のマイナス10で2四半期連続の改善。大企業非製造業も7ポイント上昇のマイナス5となるなど、経済活動の再開に伴い景況感の悪化に歯止めが掛かっているが、コロナ前の水準までは回復していない。
(藤原秀行)