【独自取材】KYB、ダンパー交換工事で物流施設の先送り否定

【独自取材】KYB、ダンパー交換工事で物流施設の先送り否定

基本路線は公共施設が先行も用途で優劣つけず

 建設業界関係者への取材を総合すると、油圧機器大手KYBの免震・制振オイルダンパー不正データ問題に関して、今後進めていく交換工事のスケジュールは公共施設、マンション、オフィスなどを優先すると見方が大勢を占めた。

 大手建設コンサルタントのエンジニアは「著名企業の本社などにも数多く納入されていると聞く。道義的に考えても万が一の際に人的被害が大きいと想定される施設を優先するだろう。貨物が対象の物流施設は工事が先送りされる可能性もある」と指摘している。

 これに対してKYB免震・制振オイルダンパー報道機関等担当窓口は11月7日、ロジビズ・オンラインの取材に応じ「交換工事のスケジュールは現在調整中」と前置きした上で、「基本的には多くの人が集まる公共施設、商業施設、マンションなどを優先していく方針」と回答した。その一方で「ゼネコンさんとの構造計算・強度計算から得られたデータに基づき、早期工事の必要性が高いと判断された物件については用途にかかわらず先行して進めていく」とし、施設用途だけで工事の優先順位を決めることはないとの考えを示した。

 同社が2日に公表した物件リストでは、22の物流施設において不適合品もしくはデータ書き換えの有無が確認できない免震用オイルダンパーを納入したと明らかにしている。このうちプロロジスリート投資法人とGLP投資法人がそれぞれ1物件で当該製品が使用されていることを確認・開示済み。

 同担当窓口によると、いずれの物流施設も建設工事の元請けであるゼネコンを通じて所有者とコンタクトが取れており事実確認・説明を行っているという。ただ個別の企業名・施設名については「(建設工事の)主契約者であるオーナーさん、ゼネコンさんを飛び越えて当社がお話しできる立場にはない」と明言を避けた。KYBでは引き続き対応に全力で取り組んでいく方針。

(鳥羽俊一)

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