運送状電子化、利便性向上で輸送量底上げ目指す
ANACargoは国内の航空貨物の取り扱い促進に向け、基幹システムを27年ぶりに刷新した。2月22日に国内貨物の予約を受け付けるポータルサイト「ANA FLY CARGO!」を新たにスタート。旅客機の輸送スペースの空き状況をリアルタイムで確認、迅速に予約できるようにしている。運送状など関係書類のペーパーレス化も同時に図っている。
国内の航空貨物は新型コロナウイルスの感染拡大前までは重量ベースで減少傾向が続いていた。ANACargoは医療関連物資などの緊急輸送で航空貨物の重要性があらためて見直されている中、デジタル化で代理店や企業、個人らの利便性を高め、スポットの輸送需要にも対応することで取扱量の底上げを図りたい考えだ。新ポータルサイトは3月1日搭載分から予約を受け付ける。
同社はこれまで、運送状の照会などが可能な国内貨物の情報システム「ASTRO」と、貨物輸送の予約システム「ANA Sky Cargo」が並立している状態だった。ASTROは貨物の動態確認や貨物便の運航情報照会など、ANA Sky Cargoは空いた輸送スペースの検索や予約の登録・変更などをそれぞれ担い、利用者は用途によって使い分けている状態だった。
両システムの機能を統合し、2月22日以降は新ポータルサイトで多様な機能をまとめて使えるようにすることで、航空貨物輸送利用のハードルを下げるのが狙いだ。ポータルサイトはアカウントIDを取得した貨物代理店や企業、個人などが利用可能。
これまでは国内貨物運送状や危険物申告書、動物運送申告書は利用者が紙に手書きするか、プリントアウトして作成してきた。新ポータルサイトの立ち上げにより、運送状などの書類はウェブ上で登録すれば済むように変更。コンテナに添付するタグやばらの荷物用ラベルも、運送状の情報登録が完了すればPDFで自動作成され、印刷すればすぐに使えるようになる。
ANACargoの末原聖常務取締役(国内貨物部門担当)はポータルサイトの開設について「販売からオペレーションまで一気通貫で行えるようにして、お客様の利便性を高めることに腐心した。コロナ禍で非接触が求められる中、運送状のペーパーレス化はそうした流れに応えられるものだと考えている」と狙いを説明する。
同社は代理店経由の取り扱い拡大につなげたいとの思いとともに、例えばペットを安全に輸送したいといった個人のニーズにもより航空輸送で対応していけるようになると意欲を示している。
新ポータルサイトのロゴマーク(ANACargoウェブサイトより引用)
(藤原秀行)