第1弾は4月販売開始、21年度に50台販売目指す
製造業や物流業界の現場作業を改善できる先端技術を扱う商社のリンクスは3月16日、新たな中長期経営ビジョンの柱として、AI(人工知能)を活用した先進技術を積極的に日本企業へ提案していく方針を表明した。
新型コロナウイルスの感染拡大で製造業や物流業の現場は密集を避けることが強く求められているため、AIを生かした製品を投入、事業を強化していきたい考え。中長期的には20を超える新商材を日本市場に投入していくことを目指す。
東京都内の本社で記者会見したリンクスの村上慶代表取締役は、ロボットによるばら積みピッキングにもAIを応用できると説明。「もし物流現場の無人化が必要とされ、実現可能なタイミングがあるとすれば、われわれはそのタイミングを5~10年早くする役割を果たしたい」と語り、製造現場に加えて物流業務の効率化への貢献も積極的に目指す姿勢を強調した。
第1弾として、イスラエルのスタートアップ企業INSPEKTO(インスペクト)が手掛けているAI画像処理検査装置「Inspekto S70」の日本国内における総代理店契約を締結。4月1日から独占的に販売する。同装置は部品が設計通りに作られ、きずやゆがみがないかチェックする検査ラインへの投入などを想定。プログラミングが不要で、良品の画像をAIに最小20枚学習させると、部品などの良否の判定が可能になる。
カメラやライト、ソフトウエアなど一式をパッケージで提供するため、製品の開封から約45分で検査を始められるのが強み。リンクスは昨年から同装置の試験販売を進めており、自動車や化学、電機といった業界から問い合わせを受けているという。同社は2021年度に50台、中長期的に累計で500台の販売を目標に掲げている。
「Inspekto S70」
範囲を指定すれば自動的に部品の良否を判断する
(藤原秀行)