恒川社長が対応説明、システム整備や自動化にも注力
トランコムの恒川穣社長は4月28日、オンラインで開催した決算説明会で、2021年度から5年間を対象とする新たな中期経営計画の期間中、設備投資に約350億円を投じる方針を盛り込んだことに関し、輸配送ネットワーク強化のための拠点整備に最も重点を置くことを明らかにした。
恒川社長は「前の中計では圧倒的にM&Aへお金を使っていきたいと申し上げたが、今回の中計は投資の考え方もかなり変えている」と説明。輸配送能力の増大・向上を図るため、拠点整備に3割強の約130億円を投じる姿勢を示した。
他の用途の内訳としては、業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進へシステム投資に約60億円、自動化投資に約25億円、M&Aに約40億円、車両整備などに約80億円をそれぞれ想定していると解説した。
自動化・省人化への対応については「自動化は将来、労働人口を確保していくのがなかなか難しい時代が来るであろうと想定している。効率性も考えて、今後はきちんと投資をしていこうと思っている」との意向を表明。既に公表している、次世代物流センターを構築してケースピッキング業務の自動化を開始、省人化を図る計画にあらためて言及した。パレット単位で自動倉庫に商品を保管、庫内はAGV(自動搬送ロボット)が商品を搬送し、アームロボットでピッキングする流れを想定している。
恒川社長は具体名を言及しなかったが、既に資本・業務提携しているスタートアップ企業のChinoh.Ai(チノーエーアイ、東京都千代田区有楽町)の自動化技術を活用しているもようだ。
また、恒川社長はM&Aへの対応を問われたのに対し「M&Aによって当社グループの売り上げを増大していく発想は基本的に持っていない。M&Aや対外的なアライアンスでやりたいのはグループの機能を作っていくことであり、将来(の成長)に向けたきっかけや目線をいただくのが一番の目的」と述べ、DX促進や輸配送の機能強化などの目的で他社と提携することに意欲をのぞかせた。
(藤原秀行)