働きやすさ重視、社内の現場担当者らの会議で決定
丸協運輸は、SDGs(持続可能な開発目標)を考慮した働き方改革の一環として、全国のトラックドライバーと倉庫など現場の作業職全員に空調服約1200着を導入した。夏場の猛暑時に熱中症となるのを防ぎ、体への負荷を低減するのが狙い。同社としては初の試みとなる。
空調服は脇腹の付近に電動ファンを装着し、外気を取り入れて衣服の中を通すことにより汗の蒸発を促進。気化熱を生じさせて着用している人が涼しく感じられるようにする。建設現場などで取り入れる動きが広がっており、同社も安全・安心な職場環境確保を重視した。
採用した空調服(丸協運輸提供)
同社はこれまでにも、安全靴をより履き心地の良いものに変えたり、夏用作業ズボンを導入したりと細かな施策を展開。併せて、各営業所にノートパソコンを配布してリモート会議が可能な体制を整備するとともに、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現できる下地づくりとして、管理職以上の人にも1台ずつノートパソコンを貸与、稟議決裁承認をオンライン化するなど、新型コロナウイルスの感染拡大も念頭に置いた対応を展開している。
空調服提供も職場環境改善の流れの一環だ。同社は2018年1月から月に1~2回のペースで働き方改革を議論する社内会議を開催。配送や倉庫、海外事業、管理の各部門の代表と現場のトラックドライバー、作業担当らが集まり、意見を出し合っている。
既に今年5月時点で開催実績が計57回に達しており、これまでに休日の増加や有給休暇取得促進、共同配送の班体制設置、トイレの整備などを打ち出してきた。空調服採用などもこの会議の場でアイデアが出たという。今後は現場へのロボット導入検討なども進める見通しだ。
(藤原秀行)