福岡空港近隣の新拠点、半導体関連の輸出入貨物拡大などに期待
西日本鉄道で国際物流事業本部長を務める北村慎司専務執行役員は6月18日、福岡市内で新たな拠点となる物流施設の起工式に参加した際、ロジビズ・オンラインの取材に応じた。
北村氏は、同拠点が福岡空港に至近なことなどから、半導体関連の輸出入貨物の取り扱い拡大につなげられると期待。九州の農産物などの輸出拡大にも貢献していきたいとの思いを強調した。
また、将来の展望として、九州の各県に新拠点と同じく流通加工などの高機能を備えた物流拠点を配置、九州経済の発展を後押ししていくことに強い意欲を見せた。
起工式であいさつする北村氏
冷蔵倉庫活用し生花や生鮮食品の取り扱いも
新拠点は福岡空港近隣で清水建設が開発する物流施設「S.LOGi(エスロジ)福岡空港」を1棟借りし、「福岡ロジスティクスセンター」として運営する予定。延べ床面積は1万1558平方メートルで、温度帯管理が可能なエリアも設け、稼働開始は2022年8月を見込む。福岡空港の貨物地区から1・6キロメートルと利便性の高い立地が強みだ。
北村氏は、新拠点をアジアと九州を結ぶ物流の中枢拠点として運営し、九州の事業者のサプライチェーン発展を支える意向を表明。「新施設を活用し、アジア経済の成長と九州の成長の両方に貢献していきたい」と抱負を述べた。
また、半導体関連の輸出入貨物のクロスドック機能などを発揮させるとともに、冷蔵倉庫を活用して生花や生鮮食品などの取り扱いも拡大したいと説明。「空港から新拠点までほとんどタイムラグがないくらいの勢いで貨物の取り扱いができるスピード感は、今まで以上にお客様のニーズを増やしていけるのではないか」と語った。
福岡県内の複数倉庫を新拠点に集約することに言及し「レベルの高いサービスができる倉庫になる。(リードタイム短縮などの)メリットは間違いなく提供できる」とアピール。共同運送や保税倉庫管理なども手掛けたいと述べた。
併せて、既に成田空港近隣の拠点などで進めている自動化・省力化を新拠点でも積極的に進めていきたいと説明、業務効率化に伴うコスト低減分を顧客にも還元できるとの見方を示した。加えて、高付加価値製品などを取り扱うため、拠点のセキュリティも一層強化することを明らかにした。
今後の九州地方での拠点展開については、現時点ではまだ詳細は決まっていないと前置きした上で「大きな流れの中では、新拠点をスタートポイントとして、できれば将来、九州の各県でピック&パックや流通加工などができる拠点を持ちたいとは考えている」と語った。
新拠点の完成イメージ(西日本鉄道提供)
(藤原秀行)