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【独自取材】野村不動産、物流現場の自動化促進へ「オープンな協業」加速

【独自取材】野村不動産、物流現場の自動化促進へ「オープンな協業」加速

効果検証など可能な専用拠点拡張、22年度にPoC本格化目指す

野村不動産は、荷主企業や物流事業者、マテハンメーカーなどと連携して物流現場でロボットをはじめ先進技術の導入促進を目指す共同のプログラム「Techrum(テクラム)」の取り組みを加速させている。

4月のスタート以来、プログラムへの参加を希望する企業が20を超えており、千葉県習志野市に構えているTechrum専用の拠点「習志野 PoC Hub」で順次、自動化機器の導入効果検証などを進めている。

Techrumは荷主企業や物流事業者、マテハンメーカーなどの関係者が、単体では物流現場の自動化が進めにくくなっている現状を踏まえ、野村不動産が各社間をつなげる媒体となり、「オープンな協業」の体勢を構築。いかに初期費用を抑えてロボットを導入するかといった課題解決につなげることを意図している。

今年秋をめどに、Techrumの推進体制の詳細を発表する予定で、さらに多くの企業が参加できるよう、習志野 PoC Hubの拡張も準備している。2022年度はTechrumとして参加企業間でPoC(概念実証)を本格化させ、人手不足の中でも物流を持続可能に変革していくための具体的なソリューションを提案できるところまで踏み込んでいきたい考えだ。


Techrumのブランドロゴ(以下、いずれも野村不動産提供)

「物流の在り方をアップデートしたい」

Techrumを創設した背景について、野村不動産物流事業部の網晃一事業企画課長は、荷主企業や3PL事業者、マテハンメーカーの連携が取りづらくなっている現状を指摘。3PL事業者は荷主企業との契約期間が限られる中、荷主に合わせて中長期的に自動化機器へ大規模に投資していくのが難しい点などに言及し、「物流施設デベロッパーという中立的な立ち位置にいる当社がつなぎ役となることで、オープンイノベーションを生み出し、物流業務の効率化や省力化に貢献していきたい」と説明する。

具体的には、荷主企業や3PL事業者が抱える悩み、課題を抽出し、マテハンメーカーなどと共同で検討できる機会を提供。それぞれの課題にどの自動化機器で対応していくかを見極めることなどを想定している。野村不動産としてはそれぞれのロボットやマテハン機器の効果に関するデータを蓄積、関係者間で共有することも視野に入れている。そのことでロボットやマテハン機器の性能向上につなげたいとの思いもある。

Techrumの活動の中心となる習志野 PoC Hubは千葉県習志野市の自社開発物流施設「Landport習志野」の一角に設置した。自動化機器のテストやソリューションの共同開発、機器のデモンストレーションなどを行うほか、企業間の定例会やセミナーを行えるコワーキングスペースも提供。参加希望企業が順調に増えていることを受け、現在の2645平方メートルから2021年中にも約2倍の5290平方メートルへ広げることを計画している。ピッキング作業の生産性を複数の自動化機器間で実践、比較検討できるようにするゾーンを設けることなどを視野に入れている。


習志野 PoC Hubが入る「Landport習志野」

物流施設開発を担うデベロッパーの間では、物件の建設・提供だけにとどまらず、入居する荷主企業や物流事業者の抱える問題の解決にまで踏み込む動きが広がっている。例えば、プロロジスは18年にコンサルティングを手掛ける専門チームを立ち上げ、各種マテハン機器やロボットの導入、物流拠点の統廃合・移転による輸配送の効率化、新センターの稼働後のフォローなど幅広い領域で顧客企業を支援している。

日本GLPはグループのモノフルがトラック予約受付システムなどの物流現場向けソリューションを展開。さらに、業務の非効率性やデジタル化の遅れといった課題を解決できる有望な「物流テック」を持つスタートアップ企業に投資、自社のサービスを通じた連携に意欲を示している。

大和ハウス工業はグループのダイワロジテックを軸としたさまざまなスタートアップ企業と協力しながら、AGV(自動搬送ロボット)などの自動化機器を導入しやすい物流施設の設計確立にチャレンジ。さらに、マルチテナント型物流施設を利用する企業の間でロボットなど自動化設備を共有し、使った分だけ料金を支払う従量課金制のシェアリング実現も目指している。

野村不動産のTechrumも、こうした潮流の延長線上にあると言える。荷主企業や物流事業者、マテハンメーカーなど垣根を超えた連携を実現させようとしている点はこれまでにない独自の切り口になりそうだ。

網課長は「物流の在り方をオープンな協業で可能なところからアジャイル的(俊敏)にアップデートしていきたい」との構想を明らかにしている。自動化・省人化に最適な物流施設の姿を考案していく過程では、他のデベロッパーとの連携も照準に入ってくるかもしれない。

(藤原秀行)

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