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【独自取材】短期集中連載・物流施設デベロッパー21社の戦略(第4回)★訂正

【独自取材】短期集中連載・物流施設デベロッパー21社の戦略(第4回)★訂正

ラサール不動産投資顧問、ESR、日本生命保険、CRE

※CREの項目中、ベトナムに現地法人を設置している旨の箇所は誤りでした。削除させていただきます。ご迷惑をお掛けしたことを深くおわび申し上げます。

2021年は早くも上半期の終わりに差し掛かり、年末に向け折り返し地点を過ぎようとしている。新型コロナウイルスの感染拡大で社会が大混乱する中でも、先進的な機能を持つ物流施設の需要が減速する兆しは見えず、新規の開発プロジェクトが続々と公表されている。

ロジビズ・オンラインは新たな特別企画として、主要な物流施設デベロッパー21社をメーンに、これまでの開発の軌跡と今後注目されるポイントについて、各社の公表事例やロジビズ・オンラインの独自取材などのデータを基に紹介する。

第4回はラサール不動産投資顧問、ESR、日本生命保険、シーアールイー(CRE)の4社に焦点を当てる。

ラサール不動産投資顧問
――日本がアジア太平洋の物流施設投資の中軸に

ラサール不動産投資顧問は物流施設開発に関し、国内で他の外資系デベロッパーなどと併せて先駆的に取り組んできた。スタンスは大型の施設開発を基本に据えており、新型コロナウイルスの感染拡大下でも大きな戦略変更には至っていない。

今年7月には埼玉県加須市でNIPPOと共同開発している12万1418平方メートルの「ロジポート加須」、11月には神戸市で4万9972平方メートルの「(仮称)ロジポート神戸西」がそれぞれ竣工する予定。

2022年に入っても、同じくNIPPOと進めている7万1257平方メートルの「(仮称)松戸物流センター」が年明け早々に完成を迎える見通しだ。ニーズが高まっている冷凍・冷蔵機能を備える計画。コールドチェーン需要にも着実に対応できるよう体制を整えている。

米国のラサールインベストメントマネージメントはかねて、アジア太平洋地域で物流施設投資を重視しており、その中でもeコマース市場の伸びしろが大きいとみられる日本については中軸を占めている。活発な投資姿勢は当面続きそうだ。


「ロジポート加須」の完成イメージ(ラサール不動産投資顧問提供)

ESR
――大規模案件を続々展開

ESRは近年の物流施設需要旺盛な中で、特に大型開発への積極姿勢が目立つ。昨年6月には兵庫県尼崎市で、1棟としてはアジア太平洋地域で最大級の「ESR尼崎ディストリビューションセンター(DC)」が完成。延べ床面積は38万8570平方メートルながら、アマゾンジャパンなど複数企業が続々と入居を決定、稼働は好調だ。

昨年12月には、物流施設が軒を連ねる川崎市の東扇島エリアで36万5385平方メートルの「ESR東扇島DC」第1期開発を公表。地上9階建てと国内の物流施設でも最高層になる見通しだ。2棟目の詳細は未定だが、2棟合わせて60万平方メートル規模に達する公算が大きい。

一時期は大阪湾岸で開発した大規模施設でリーシングに苦戦する場面もあったが、その後はEC需要の高まりなどへ着実に応えられているようだ。先日も横浜市の幸浦地区で、同一敷地内で2棟目となる「ESR横浜幸浦DC2」(19万5373平方メートル)の建設計画を公表しており、「大規模・マルチテナント型」を軸とした開発の姿勢が続きそうだ。

同社の特徴は、託児施設やラウンジ、従業員ショップなどを整備し、働きやすさを重視する理念「HUMAN CENTRIC DESIGN.」にこだわっていることだ。前述の「東扇島DC」第1期ではボーリングレーンやバーなども新たに設置することを検討している。既存の物流施設のイメージを良い意味で破壊する試みはこれからも関心を呼びそうだ。


「ESR東扇島DC」第1期の完成イメージ(ESR提供)

日本生命保険
――「長期安定保有」の根幹は変えず

国内最大の機関投資家の一角を占める日本生命保険が2014年に物流施設投資へ本格的に参入した際、物流・不動産業界では「ついに物流施設もオフィスビルやマンション、商業施設など伝統的なアセットと並ぶ位置に来たのか」と歓迎する声が広がった。まさに、物流施設市場が次のステージへと進んだことを象徴するイベントだった。

その後は自社開発にも着手。既存の大手デベロッパーに比べればスピードの面で慎重さがうかがえるが、案件自体は大消費地の近隣で用地を押さえるなど、実績を重ねている。

生命保険料が運用資金のベースのため、必然的に長期安定保有が基本となる。国内のオフィスビルなどで培ってきた不動産の投資・運用ノウハウを生かし、長期にテナント需要が見込める優良案件を厳選している。

自社ブランドの「ニッセイロジスティクスセンター」を冠した物流施設は大阪で3棟と地盤の大阪先行で開発が進んでいるが、19年には横浜で初の案件が竣工した。今年3月には三菱地所とタッグを組み、神奈川県相模原市で約17万3000平方メートルの大型案件「(仮称)相模原市中央区淵野辺プロジェクト」を手掛ける方針を発表した。

自社での開発に加えて、既存物件の取得も選択肢に入れる。オリックス不動産が大阪府枚方市で開発、20年1月に竣工した「枚方Ⅱロジスティクスセンター」の取得を決定。新名神高速道路の開通で物流適地として存在感が高まる大阪内陸部の優良案件で、中長期にわたって安定した運営が見込める。まさに長期安定保有の方針にかなう物件だ。


「(仮称)相模原市中央区淵野辺プロジェクト」の完成イメージ(三菱地所・日本生命保険提供)

CRE
――大型と中小型をバランス良く推進

シーアールイー(CRE)は、昨今主流の大型と、ユーザーニーズが根強い中小型の両方をバランス良く開発しているところが特徴だ。例えば、大阪府交野市で今年完成した「ロジスクエア大阪交野」は8万534平方メートル。一方、このほど千葉県松戸市で開発に着手した「ロジスクエア松戸」は1万5654平方メートルと対照的な規模だ。

5月には埼玉県ふじみ野市の同一エリア内で3棟、総延べ床面積が27万3189平方メートルに及ぶ同社初の大規模プロジェクト「ロジスクエアふじみ野」を発表した。一部はBTS型として開発することにも対応する予定。場所や想定される荷主などを想定した、柔軟な開発計画策定が今後もCREの基本的なスタンスになるとみられる。

日系デベロッパーではまだレアケースな海外での物流施設開発にも積極姿勢を見せる。既にシンガポール、タイ、インドネシアのASEAN(東南アジア諸国連合)3カ国に現地法人を設置。併せて、ベトナムでは子会社とシンガポール政府系でインフラ開発などを手掛けるSembcorp Development(セムコープ・デベロプメント)グループが連携し、セムコープがベトナムの工業団地内で開発した2棟の運営に参加しているほか、昨年4月に3棟目が完成した。

同じくASEANエリアで物流施設の開発運営に携わった経験のある阪急阪神不動産もベトナムの開発プロジェクトに参加している。サプライチェーンがグローバルで拡大している今、日本式の高性能な物流施設が日系企業だけでなく海外企業にも受け入れられるかどうか注目される。


「ロジスクエアふじみ野」の3棟完成イメージ(CRE提供)

(藤原秀行)

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