荷室内を立体的に再現、荷物の割り付けや配車計画改善を促進
日野自動車の子会社で幹線物流の効率化を目指すNEXT Logistics Japan(NLJ)は、10月13~15日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催されている物流の大規模展示会「国際物流総合展2021 第2回INNOVATION EXPO」で、様々な企業と連携した幹線輸送の効率化に向けた取り組みを紹介している。
この中で、新たにトラックの荷室内の荷物積載状況をセンサーで把握、立体的に再現し、積載量と空きスペースを正確に把握できる「荷室モニタリングシステム」の開発を進めていることを明らかにしている。
同システムを活用することで、幹線輸送の中で積載率が低い区間を割り出すなどして、荷物の割り付けや配車計画の改善を促進できると見込む。
荷室モニタリングシステムのデモ画面。積載率を表示している
主催者企画展示として「環境に優しいトラック輸送最前線」のテーマを掲げており、NLJが協力している
NLJは2018年設立。日野自動車のほか、アサヒグループホールディングスや江崎グリコ、日清食品ホールディングス、ブリヂストンといった荷主企業と、鴻池運輸やトランコム、ニチレイロジグループ本社、日本梱包運輸倉庫といった物流企業なども出資している。
関東圏と中部圏、関西圏の間で幹線輸送を日々実施する中で、異業種同士で混載して積載率を改善したり、ダブル連結トラックで一度に多くの荷物を運べるようにしてドライバーの負荷を軽減したりするなど、様々な取り組みを展開している。
同システムは対象物までの距離を測定する独自の車両用ToFセンサーを使い、荷室の中の状況を捉え、3Dで積載状況を分かりやすく再現する。現状ではおおまかにしか掴めていない積載率を詳細に表示することで、残りの空きスペースにどの程度荷物を積めるかを速やかに算出できるのが特徴。
まずNLJの日々の運行の中で同システムを利用、精度を上げていく流れを想定しており、将来は同システムを他の物流事業者らに提供することを視野に入れている。
NLJはこのほか、荷主企業や物流事業者とも協力しながら、荷物情報をデジタルデータ化して最適な積み付けを自動的に割り出し、高積載を実現することも検討している。ダブル連結トラックのうち前のトレーラーは混載で共同使用し、後ろには各社専用トレーラーを取り付けることで、温度管理が必要なものや臭いが発生するものと通常の荷物を一度に運べるようにしていくことも広げていきたい考えだ。
ダブル連結トラックのイメージ。常温のトレーラーと冷凍のトレーラーを同時に輸送できる(ニチレイロジグループ本社プレスリリースより引用)
(藤原秀行)