山間部で持続可能な物流体制構築目指す
ヤマト運輸と岡山県和気町は11月25日、処方薬などを個人宅へドローンで輸送する実証実験を同町で12月6日に開始すると発表した。
両者は10月22日に「ドローン輸送に関する連携協定書」を締結しており、今回の実証実験はその一環として行う。ドローンを活用し、地域の医療機関や住民が必要としている持続的な医薬品の輸送ネットワークを構築したい考え。厚生労働省などが定めた「ドローンによる医薬品配送に関するガイドライン」に準拠して実施する。
和気町は岡山県の東南部に位置。吉備高原から連なる標高200~400メートルの山々に囲まれ、中心部を離れると高齢化による買い物難民や交通弱者の増加、老朽化したインフラ対策といった様々な地域課題に直面している。和気町はこれらの地域課題を解決する手段の1つとして、2018年から積極的にドローンを活用した実証実験を推進してきた。
今回、参画パートナーの病院、調剤薬局、医薬品卸とともに、ヤマト運輸と和気町は医薬品卸や宅急便センターから医療機関、オンライン診療・服薬指導、山間部の個人宅への一貫した医薬品流通におけるドローン輸送の経済的実現性を検証するとともに、解決すべき課題を明確にしたい考えだ。
対象エリアに配達を行う医療用医薬品などの商品を医薬品卸ティーエスアルフレッサの物流拠点からヤマト運輸が集荷。その後、宅急便センターから医療機関までの納品とオンライン診療・服薬指導後の処方薬の患者宅までへの配送を、「ドローンによる医薬品輸送のガイドライン」に準拠した業務手順書を基に実施する。
ヤマト運輸は2022年2月以降は第2フェーズとして、離着陸専用設備のドローンポートを使用せず、個人宅へ直接離着陸する技術の有効性と、ドローン運航の内製化の可能性を見極める予定。22年度に政府が人口密集地上空での目視外飛行を可能にする「レベル4」解禁を準備しているのをにらみ、都市部でもドローンの社会実装に向けた取り組みを進め、将来は複数の温度帯における医薬品輸送や宅急便の配送など、ドローンの活用領域を広げていくことを目指す。
※以下、プレスリリースより引用(一部、編集部で修正)
検証内容
①有用性の検証
・医薬品輸送におけるドローン輸送の品質に関する課題の洗い出し
・離発着の荷役作業、運行のオペレーションの具体化と課題の洗い出し
②経済的実現性の検証
・商材や環境に適合する機体の必要スペックの確定
・全ての参画パートナーにとって経済合理性があるかの想定コストシミュレーションの検証
検証期間
2021年12月6日~2022年1月末までの計12日間実施予定
実験に使用するヤマハ発動機の「Fazer R G2」
実験に投入する空解の「Qukai Fusion」
(画像はプレスリリースより引用)
(ロジビズ・オンライン編集部)