東京大と出光、日本郵船が共同研究へ
東京大学大学院農学生命科学研究科、出光興産、日本郵船の3者は11月29日、出光興産の保有するオーストラリア・クイーンズランド州エンシャム石炭鉱山の遊休地を活用し、石炭と混ぜて燃やせるバイオマス発電燃料用植物ソルガム(モロコシ)の栽培試験に関する共同研究を実施することで合意したと発表した。
温室効果ガス(GHG)削減の観点から、今後は石炭火力発電所で石炭とバイオマス燃料の混焼需要が高まることが予想されている。3者はバイオマス燃料の原料としてイネ科の一年草植物ソルガムに着目。植生地の特性に合った最適品種の選定および栽培方法の確立に関する共同研究を本格化させる。品種の選定および栽培方法の確立には東京大学大学院農学生命科学研究科の持つゲノム育種技術・遺伝子解析・栽培技術知見などを活用する。
ソルガムは種まきから約3カ月で収穫できるため年間複数回の収穫が可能。干ばつに強く高い環境適応能力を持ち、厳しい耕作環境下でも生育が見込めることもあり、バイオマス発電燃料の安定供給に寄与する有力な原料の1つとして期待されている。
出光興産が昨年実施したエンシャム石炭鉱山でのソルガム栽培および燃料化に関する試験では、ソルガムが順調に生育し、燃料化が可能なことを確認した。今回の共同研究では、前回の試験をさらに発展させ、事前に選定したソルガム17品種の栽培試験を実施。従来より高収量・高発熱量となる発電燃料に適した品種を選び、効果的な栽培方法の確立を目指す。
3者は将来、共同研究の成果を活用し、石炭火力混焼用のバイオマス燃料の製造・輸送・販売といったサプライチェーンの構築を目指し、石炭火力発電からのGHG排出削減へとつなげたい考え。
(画像はプレスリリースより引用)
(ロジビズ・オンライン編集部)