地域の移動手段維持図る、温室効果ガス排出削減も期待
ヤマト運輸と丹後海陸交通(京都府与謝野町)は3月25日、過疎化や高齢化が進む京都府北部で、路線バスと高速バスを活用した「客貨混載」を4月1日に開始すると発表した。
宅配の走行距離短縮によるドライバーの負荷軽減と温室効果ガス排出削減を図るとともに、地域の交通を支える路線バスと高速バスの路線維持につなげる。
丹後海陸交通が運行する経ケ岬線(上宮津~なぎさ苑前~経ケ岬停留所)は、京都府宮津市と丹後半島最北端の経ケ岬および伊根・府中エリアを結ぶ唯一の公共交通機関として地域住民にとって重要な交通手段。ただ、近年は利用者減少などで路線維持がピンチを迎えている。
一方、ヤマト運輸は伊根・府中地区の住民向け宅配荷物を宮津与謝営業所から片道約40分かけて輸送している。サービス提供時間の確保と集配効率の改善が課題になっている。
両社はなぎさ苑前停留所~日置停留所の片道約13キロメートルを対象に客貨混載を開始。、伊根・府中地区を担当するヤマト運輸のドライバーが地域に滞在する時間が増え、地域の顧客の要望により柔軟に対応できるようになると見込む。
トラックの走行距離は1日当たり約52キロメートル減る見通し。年間約9トンのCO2排出量削減につながると期待している。
路線バスの客貨混載の枠組み
一方、高速バスは丹後海陸交通が運行する京都線(間人~野田川丹海前~京都駅停留所)で、丹後半島と京都市内をつないでいるが、コロナ禍で人の移動が制限されてバス利用者が減少、収益が厳しくなっている。
当該地域は若狭湾沿岸に位置し、多くの海産物や農産物をヤマトが宅配で全国各地や京都市内の百貨店・飲食店へ出荷している。両社は港近くの野田川丹海前停留所から京都駅停留所までの約130キロメートルの区間で客貨混載を展開。早朝にヤマトと契約している荷主が出荷する新鮮な海産物や農作物を、高速バスを活用して輸送し、その日のうちに京都市内の百貨店や飲食店に納品できるようになる。
高速バスの客貨混載の枠組み(いずれも両社提供)
(藤原秀行)