三菱造船、LCO2船用球形カーゴタンクの基本設計承認を仏船級協会から取得

三菱造船、LCO2船用球形カーゴタンクの基本設計承認を仏船級協会から取得

構造強度特性に優位、脱炭素社会構築に貢献目指す

三菱重工業グループの三菱造船は6月8日、液化CO2輸送船(LCO2船)に搭載する球形カーゴタンクシステムの基本設計承認(Approval in Principle、AIP)をフランスの船級協会ビューロベリタス(Bureau Veritas、BV)から取得したと発表した。

授与式は6月7日、ギリシャ・アテネで開催中の国際海事展「ポシドニア 2022(POSIDONIA 2022)」の会場で行われた。

LCO2船は低温かつ圧力の高い状態で液化されたCO2ガスをカーゴタンクシステムに格納して輸送するため、カーゴタンクシステムにはIGCコード(船舶の安全要件が規定された国際規則)で規定される独立型タンクタイプCを適用する。

タンクの構造様式としてはこれまで円筒型・バイローブ型・トリローブ型などが一般的だったが、三菱造船は球形タンク式LNG(液化天然ガス)輸送船の設計・建造で培った高度な構造解析技術、材料評価技術を応用、LCO2船用の球形カーゴタンクシステムの開発に成功、BVからのAIP取得にこぎ着けた。

球形タンクはタンク内の圧力に対する構造強度特性が円筒型・バイローブ型・トリローブ型に比較して優れており、活用すれば一層の配置最適化や経済性向上が期待できるという。

三菱造船は成長戦略「海洋Future Stream」の中で、再生可能エネルギーと炭素循環による「海の脱炭素化社会」、自律化・電化による「安心・安全な社会」を描き、海に関わるイノベーションの「知恵出し」とその「カタチ化」の実現を掲げている。

今回のLCO2船用球形カーゴタンクシステムのAIP取得を弾みにして、海洋システムインテグレーターとしてLCO2船の開発とその事業化を積極的に推進。併せて、CCUS(CO2の回収・再利用・貯留)のバリューチェーン構築に必要なLCO2船に関するさまざまな市場ニーズに対応するため、各種技術の開発・提供に尽力し、陸・海にまたがったCCUSバリューチェーンの構築と脱炭素社会の実現を目指す。


AIP授賞式(以下、いずれも三菱造船提供)


独立型球形タンクイメージ


LCO2船用球形カーゴタンクのAIP

(藤原秀行)

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