商船三井、欧州向け自動車船でカーボンオフセット航海を実施

商船三井、欧州向け自動車船でカーボンオフセット航海を実施

民間の「ボランタリークレジット」活用、4000トンの温室効果ガスを相殺

商船三井は6月15日、民間企業が主導している、温室効果ガスの排出削減分を他の企業から購入、自らの排出量と相殺する仕組み「ボランタリーカーボンクレジット」を活用し、日本から欧州向けの完成車海上輸送でCO2排出量を実質的にゼロとするカーボンオフセット航海を実施したと発表した。

現在の技術レベルでは削減が困難なCO2排出量に対するカーボンクレジットを活用するため、海運における具体的な活用方法を検討するためのパイロットケースとしてボランタリーカーボンクレジットを利用した。

商船三井が運航する「BELUGA ACE(ベルーガ・エース)」は、マツダの完成車を搭載して4月18日に広島港を出港、5月28日に英国のブリストル港で航海を完了した。同船が日本~欧州間の航海で排出したCO2量は燃料油の製造から本船で消費するまでの全過程を含めて約4000トン。CO2排出量の算出からカーボンクレジットによる全量オフセット(排出量相殺)に至るまでの全体プロセスは、第三者認証機関のClimate Neutral Commodity(クライメイト・ニュートラル・コモディティ)による認証を取得済み。



BELUGA ACE広島寄港時の荷役風景と、船積みされたマツダ製完成車(以下、いずれもプレスリリースより引用)

今回の取り組みでは、ガーナと中国の植林・再植林プロジェクトから創出されたカーボンクレジット(排出削減分)を活用。いずれのプロジェクトも国際的なカーボンクレジット基準管理団体ヴェラの認証を受け、過去5年以内に創出されたクレジット。

各プロジェクトは大気中からCO2を吸収・除去するのに加え、生物多様性の保全や地域住民の雇用創出といった複数の相乗便益に貢献しているという。



ガーナの再植林(上)、中国の植林(下)のプロジェクトの様子

今回活用したカーボンクレジット

プロジェクト名 ①Reforestation of degraded forest reserves ②Qianbei Afforestation Project
国・地域 ガーナ アシャンティ州 中国 貴州省遵義市
クレジット数量 2,082 tCO2e 2,081 tCO2e
クレジット創出年 2018-2019年 2018年
クレジットタイプ 炭素吸収・除去 炭素吸収・除去
認証プログラム VCS VCS
概要 荒廃した森林の再生を目的とし、チークや在来種を用いた持続可能な植林、水辺の緩衝地帯における天然林の再生、違法伐採の防止を行う。間作プログラムと再植林を通じた雇用創出に加え、森林回復による生物多様性の増加や、土壌と水質の改善にも貢献している。 成熟期の長い在来樹種を植えることにより、炭素隔離を改善し劣化した土地での生物多様性を高めるプロジェクト。地域コミュニティへの植林・森林管理・保全技術の継承を通じ、雇用も創出している。新たな森林生態系の構築と減少防止、土壌・水の保全の改善を通じて、生物多様性の回復も目指している。

(藤原秀行)

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