世界の多様な企業・技術を取りまとめ“指南役”として展開
機械専門商社のアルテック(東京・中央区)が物流現場の自動化・機械化で積極的な営業活動を展開している。
機械分野に精通した専門商社の広範なネットワークと緻密なマーケティングを生かし、革新的な技術・製品を保有するメーカーを国内のみならず海外でも数多く発掘。日本市場へのアクセスが弱い海外メーカーのエージェント、複数のアイテムを組み合わせた斬新なアプローチとプランニングで独自性を発揮している。
1月16~18日にかけて東京・有明の東京ビッグサイトにて開催されたロボット開発・活用展「第3回ロボデックス」(主催・リード エグジビジョン ジャパン)では、自律走行型搬送ロボット「OTTO」シリーズを中心としたデモンストレーションを行い来場者の注目を集めた。
「OTTO」はカナダのClearpath Robotics社が開発・製造し、アルテックが日本における販売代理店として展開。最大100キログラムの段ボール箱やコンテナボックス、ラックなど物流センターで主流ともいえるサイズ・タイプの荷物を搬送する「OTTO100」、最大1.5トンの重量物に対応できる「OTTO1500」の2タイプをラインアップしている。サイズは前者が750×550×301ミリメートル、後者が1190×1810×400ミリメートル。走行速度はいずれも毎秒2メートルで毎時換算7.2キロメートルに達する。
特に後者は大型サイズの荷物や大量のパレットに積まれた段ボール箱などに対応できる強度・耐久性・安定性を備え、アクセサリーのコンベヤーやリフターを組み合わせてユーザーニーズに合わせた多様な運用が可能。
OTTO100
OTTO1500
同社技術担当者は「無人搬送車や自律走行型搬送ロボットは小型タイプが複数リリースされているが、1.5トンの大型・高重量タイプとなるとメーカーおよび製品は限られる。この部分を差別化要素として引き続きアピールしていきたい」と解説。その上で「1.5トンともなれば現状はフォーリフトの範疇。当社では『OTTO1500』をフォークリフト代替とすることでオペレーター不足解消にも貢献していきたい。目先のライバルはフォークリフト」と意気込む。
「OTTO1500」のデモンストレーション
このほか梱包機ではイタリア・CMC社製の「BUBBLE WRAPPER」と「SMART MAILER」を紹介。主に前者はアパレル製品、後者は書籍やDVDなどのメディア製品を高速で自動処理する。製品バーコードの読み取り、エアキャップや封筒のシーリング、ラベルの印刷・貼付を単一装置でワンストップ処理できるのが特徴だ。
同社営業担当者は「既存の梱包機はこれら作業を1台で処理するには至っておらず、複数の装置を組み合わせるかカバーできない部分には人を多く割り振っているのが実情。CMC社の梱包機では人の作業を極小化しているためラインに必要な人数は2~3人程度。10人以上を配置している他メーカーと比べて省人化・省力化のパフォーマンスは圧倒的に高い」と自信を見せる。
アパレル製品やメディア製品などはインターネット通販での購入が年々増加している一方、物流センターではアイテムによって異なる梱包は作業員の負荷が高く効率面でもネックとなるケースが多い。同社では上記2製品を通じてEC事業者や小売業者、3PL事業者を中心に“最新のeコマースフルフィルメント”を提供していきたい考え。
ロジビズ・オンラインの取材に応じた両氏は現在のマーケット状況について「足元では物流分野からの引き合いが一番多く当社側もマンパワーが足りないほど」と表現。営業戦略では「目下のところ物流向けは最注力分野。専門商社の幅広いネットワークと自在性を武器に物流自動化プロジェクトでコーディネーター、オーガナイザーとして取りまとめ役を担い、最適な企画やソリューションを提供することでお客さまの抱える人手不足などの課題解消に貢献していきたい」との方針を示し、物流機器メーカーとは一線を画した視点・ポジションから拡販を図る構えを見せている。
(鳥羽俊一)