混載し積載率100%に近づけ、運転時間2100時間削減見込む
サントリーホールディングス(HD)と大王製紙は8月18日、関東圏~関西圏間の⾧距離輸送効率化に向け、新たな取り組みを8月から順次稼働させると発表した。
各グループの物流機能を担うサントリーロジスティクスとダイオーロジスティクスが、⾧距離トラック輸送で各グループの製品を混載し、積載率向上や輸送効率化を推進。併せて、3人のトラックドライバーがリレー形式で輸送(スイッチ輸送)することで、⾧距離輸送における労働負荷の低減を図る。
サントリーHDと大王製紙は東京~大阪間で、鉄道によるコンテナの往復輸送も開始しており、各施策によりトラックドライバーの運転時間を年間当約3900時間短縮するとともに、CO2排出量を約215トン減らせると見込む。
両社は2017年から輸送協力を行っており、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」などを踏まえ、さらにトラックドライバーの労働負荷と環境負荷の低減まで踏み込むことにした。
両グループ貨物の混載の様子。上段:大王グループの貨物(ノーカーボン紙)下段:サントリーグループの貨物(飲料製品)
取り組みの概要
●貨物を混載したトレーラーのスイッチ輸送
サントリーグループの飲料製品を積んだ後、トレーラー内上部の空いているスペースに大王製紙の製品を混載。容積・重量ともに積載率を100%に近づけ、輸送効率の向上を図る。運行するトラックを両社で年間当たり約180台削減し、トラックドライバーの運転時間を約2100時間、CO2排出量を約115トン削減する計画。
また、混載したトレーラーの輸送では、大王グループの拠点2カ所を中継地として活用。輸送エリアを関東圏、中部圏、関西圏に3分割し、3人のトラックドライバーがリレー形式で輸送することで、ドライバーの労働負荷を低減する。
貨物を混載したトレーラーのスイッチ輸送のイメージ
●31フィート鉄道コンテナを共有した往復輸送
31フィートコンテナを共同で使用し、東京~大阪間でトラック輸送に比べ環境負荷が少ない鉄道輸送を行う。サントリーグループは関西圏から関東圏への貨物移動が比較的少なく、これまでは単独で同区間での往復輸送を行うことは難しい状況だった。そこで、関西圏から関東圏への貨物移動が多い大王グループと協力し、それぞれ片道ずつ貨物を積載することで、往復での輸送を実現する。
また、一般的な12フィートコンテナよりも大きい31フィートコンテナを使用することで、輸送の効率をさらに高める。年間当たり運行するトラックを約290台削減し、トラックドライバーの運転時間を約1800時間、CO2排出量を約100トン減らす。
31フィート鉄道コンテナを共有した往復輸送のイメージ(いずれもサントリーHD、大王製紙提供)
今回の取り組みは、国土交通省による物流総合効率化法に基づく総合効率化計画の認定、およびモーダルシフト等推進事業の交付を受け、実施する。
(藤原秀行)