危険品や温度管理品の長期蔵置にも対応
三井化学は5月20日、ウクライナ情勢や欧州港湾の荷役ストライキなどで国際海上コンテナ輸送を取り巻く環境が厳しさを増しているため、山九と協業し、マレーシアのケラン港に海上コンテナ輸送のハブ機能として海外物流拠点を設置、今年4月に本格運用を始めたと発表した。
新拠点の外観(プレスリリースより引用)
国土交通省は2022年12月、国際物流の多元化・強靱化を図る観点から、従来の輸送手段・ルートを代替または補完する輸送手段・ルートについて実証輸送を公募、有効性を検証する方針を発表した。
実証輸送の対象とする輸送手段・ルートと参加事業者には33件の応募があり、12件が選定された。そのうちの1件が山九の日本と欧州の経路上に位置するマレーシアのクラン港を中継拠点とした輸送・保管サービスの実証実験だった。
三井化学は荷主として実証実験に参加し、山九とともに、従来の日本の顧客向けの製品配送をメーンとした海外物流拠点ではなく、主に日本からインド・中東・欧州向け輸出の「中継貿易拠点」としての機能と輸送ルートを開発。今年4月に三井化学の国際海上コンテナ輸送のハブ機能として本格運用を始めることにした。
新たな海外物流拠点は、コンテナ長期蔵置機能に加え、貨物をデバンニングして倉庫に保管した後に第3国へ再輸出する機能も備えている。
一般品だけなく、化学産業にとって重要な、危険品や温度管理品のコンテナ長期蔵置、保管、再輸出にも対応。今後の東南アジア・インド・欧州地区の様々なニーズやマーケットの変化も柔軟にカバーできるとみている。
(藤原秀行)