第1弾は需要予測した自動最適発注を7月開始
インターネットスーパーの構築・運営支援を手掛ける10X(テンエックス)は5月20日、今後はAIを活用し、小売業の現場業務効率化支援に業容を広げていく方針を発表した。
その一環として、2026年春までに、小売業者向けに商品発注業務の自動化などのサービスを計5種類、順次提供していく考えを示した。
10Xは20年、ネットスーパーの立ち上げから運営効率化までをサポートするサービス「Stailer」(ステイラー)の提供をスタート。消費者向けのスマートフォンアプリの開発、店舗スタッフ向けの商品ピッキング支援、在庫管理などの機能を一括して使えるのが特徴だ。
これまでにライフコーポレーション、平和堂、スギ薬局、薬王堂などのスーパーやドラッグストア13社がサービスを採用している。
小売業界はネットスーパーの運営以外にも多くの課題を抱えているため、カバーする範囲を広げることで課題解決を促進し、10X自体の成長も加速させたい考え。
新戦略の第1弾として、今年7月にAIを駆使し、売れ行きや天候といったデータを踏まえて需要を予測、商品の最適な発注を実現する「Stailer AI発注」の提供を始める予定。既に「Stailer」を取り入れている長野が地盤のスーパー、デリシアがAI発注も利用することを決めているという。
その後、今年冬をめどに、AIが粗利益目標を考慮して最適な商品・価格を自動で算出する「Stailer AIプライシング」、商品データや売場情報、販促情報といったMD(マーチャンダイジング)関連のデータを関係者が迅速に共有できる「Stailer MD」、経営・販売戦略を立てる上で必要なデータを収集する「Stailer データストア」の3種類の運営を始める。
さらに、26年春には、既存の店舗IDやポイントシステムと、ネットスーパーのシステムを統合する「「Stailer OMNI」も追加する。従来と同じく、特に地域密着型のスーパーやドラッグストアなどがメーンのターゲットとなる見通しだ。
小売業者は必要に応じて、それぞれのサービスを選択、組み合わせて利用することが可能。「Stailer」は「Stailerネットスーパー」に名称を変更、継続して展開する。
東京都内で同日、記者会見した10Xの矢本真丈CEO(最高経営責任者)は「今のスーパーに求められている労働生産性向上を後押ししていきたい。小売業のDX全体を支えるプラットフォームに進化させていく」との決意を表明。
同席したデリシアの森真也社長は「小売りの未来を切り開いていくDXを期待している」とエールを送った。
会見後の撮影に応じるデリシア・森社長(左)と10X・矢本CEO
(藤原秀行)