ケネディクス、初の物流施設対象デジタル証券で60億円超の資金調達完了

ケネディクス、初の物流施設対象デジタル証券で60億円超の資金調達完了

神奈川・厚木の案件、国内最大規模に

不動産アセットマネジメントを手掛けるケネディクスは8月19日、デジタル化した証券(ST)を発行して資金を調達する手法「STO」を活用し、資産規模が146億円の物流施設を裏付け資産として発行価格が総額69億1500万円(発行価額は総額66億3148億円)に上る国内最大規模の不動産STOによる資金調達を完了したと発表した。

取得した物流施設は「ケネディクス・リアルティ・トークンロンコプロフィットマート厚木Ⅰ(譲渡制限付)」として運用を開始した。

同社が不動産によるSTOを手掛けるのは今回が3回目で、物流施設を対象としたのは初めて。

ケネディクスは、不動産領域でのSTを活用した資金調達をリート、私募ファンドに次ぐ「第三の事業の柱」とすることを念頭に置いており、具体的には2030年までに市場全体で2.5兆円の不動産がST化されている未来を目指す。


取得した物流施設(ケネディクス提供)

STは、ブロックチェーン技術を使って発行するデジタル証券を指す。実物の不動産を売買するより流動性が高く、小口で投資できるのも投資家にとっては魅力。ブロックチェーン技術を生かして権利移転などの手続きを進められるため不動産業務の効率化にもつながる。

不動産STOはケネディクスが8月、東京都渋谷区神南のマンションで初めて公募型として実施した。厚木の物流施設は1口当たりの発行価格を100万円に設定し、主幹事を務めた大和証券を通じて公募した。ケネディクスによれば、日本における不動産STOとしては過去最大の資金調達額、また世界的に見ても大型となる不動産STOの募集を成功裏に完了できたという。

ケネディクスは不動産領域のSTを活用した資金調達の市場規模は2030年に2兆5000億円にまで広がると予想。海外の収益不動産を含む多様な不動産STOの実現も視野に取り組んでいく構え。

<投資対象不動産の概要>
物件名称 ロンコプロフィットマート厚木Ⅰ
所在地(登記簿) 神奈川県厚木市三田字下新田2052番1 他
交通 圏央道「圏央厚木」IC まで約1.5 ㎞
延床面積 E 棟: 16,068.66 ㎡、W 棟: 18,897.73 ㎡
建築時期 E 棟: 2021 年8 月、W 棟: 2021 年8 月
テナント総数 3
鑑定評価額 14,600,000,000 円(2022 年5 月1 日)
還元利回り(直接還元法) 3.2%
稼働率 100.0%(2022 年5 月末日現在)

<ケネディクス・リアルティ・トークンロンコプロフィットマート厚木Ⅰ(譲渡制限付)の概要>
発行数 6,915 口
1口当たり発行価格 1,000,000 円
発行価格の総額 6,915,000,000 円
運用期間 約7年(原則)
アセット・マネージャー ケネディクス・インベストメント・パートナーズ株式会社
主幹事会社 大和証券株式会社
信託受託者 三菱UFJ信託銀行株式会社
ブロックチェーン基盤 Progmat(プログマ)

(藤原秀行)

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