ベンチャーが専用バッグ使った実証実験結果を公表
物流業界向けのシステムやアプリ開発を手掛けるベンチャーのYper(イーパー、東京)は2月5日、宅配の再配達削減に向け日本郵便と共同で行った、玄関先に置いた鍵付きの専用バッグで荷物を受け取る「置き配」の実証実験の結果、再配達を最大61%減らすことができたと発表した。
日本郵便と起業支援を手掛けるサムライインキュベートが東京都内で同日開催した、先進技術で郵便・物流分野を大きく変革する新事業創出を促すプロジェクト「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM2018」の成果を競い合うコンテスト「Demo Day」で、Yperの内山智晴代表取締役が概要を報告した。
実証実験は昨年12月の1カ月間、東京・杉並区に住む1000世帯を対象に行った。Yperが独自に開発した専用バッグ「OKIPPA(オキッパ)」を使い、荷物を受け取った。ドアノブに吊るして固定するワイヤーの専用ロックと内鍵のダイヤル式南京錠を組み合わせることで、荷物の持ち去りを防ぐ仕組み。
OKIPPAの利用イメージ(Yper提供)
Yperが2月6日発表したリポートによると、実験参加者のアンケート集計では期間中に約6000個の荷物が届けられ、再配達を減らせた割合は1週目の50%から4週目は61%まで高まった。
ユーザーに100点満点で評価してもらったところ、過半数が80点以上と答えたほか、配達員も9割以上がOKIPPAの普及を希望したという。ただ、ユーザーからは「認知度・所有率が高まったときは盗難などが発生するリスクが高まると思う。アイデアはとても良いと思うのでセキュリティー面の強化に今後期待したい」との指摘も寄せられた。
日本郵便は成果を踏まえ、「置き配」の利用拡大に取り組む構え。Yperは今後1年間で100万個のOKIPPA設置を目指す方針で、この目標を実現できれば「短期間で国内の再配達率を現状の半分以下に削減できる」と見込んでいる。
(藤原秀行)
実証実験の報告内容はコチラから