熟練した人間比で作業時間2倍まで短縮、燃料電池搭載の新タイプも
豊田自動織機のトヨタL&Fカンパニーは9月13日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催されている「国際物流総合展2022」で、新たに開発した自動運転フォークリフトと燃料電池(FC)フォークリフトを公開した。
自動運転フォークリフトはトラックの荷下ろしや荷積みに対応し、搭載しているAIで荷台の荷物の位置と姿勢を自動で認識、自律的に走行経路を生成してスムーズに作業できるのが特徴。トラックの停車位置や荷物の位置が毎回異なっている現場でも対応が可能なため、同社は物流現場の作業で自動化できる範囲が広がると期待している。
一方、FCフォークリフトは、既存機種のFCシステムを改良してコストを大幅に低減し、車両価格を税込み1097万8000円(希望小売価格、標準仕様)と以前より30%下げているほか、耐久性を2倍に高めている。2020年にトヨタ自動車が発売した高級セダン型FCV(燃料電池自動車)「MIRAI(ミライ)」の技術を活用している。物流現場の脱炭素化に一層貢献したい考え。トヨタL&Fカンパニーは100台の販売を目指す。
自動運転フォークリフト
燃料電池フォークリフト
自動運転フォークリフトは、新規の要素技術として周辺の状況を把握できるレーザ-「3D-LiDAR」を駆使し、トラックの位置を検出。他にもマーカーなどの目印を使わなくてもパレットの位置と姿勢を検出できる技術などを搭載している。
2019年から実証実験を続け、機能の改良を重ねた結果、以前は熟練したフォークリフトオペレーターが操作するのに比べ約5倍を要していた作業時間を約2倍まで短縮できるようになったという。また、狭小な作業現場でも使えるよう、カウンタータイプだけでなくリーチタイプでも対応する。
FCフォークリフトは約3分の水素充填で連続稼働が可能。同社は今後、バイオディーゼル燃料を使ったフォークリフトや、水素エンジンを搭載したフォークリフトも実用化していくことを目指す。
(藤原秀行)