経産省などがサプライチェーン上の情報共有システム運用実験
経済産業省は2月12日、電子タグ(RFID)を用いたサプライチェーン上の情報共有システムの運用実験をスタートした。店頭や物流センターなどで商品に貼り付けた電子タグの情報を読み取り、システムで関係者が有効活用することで、在庫の可視化や食品ロス削減といった課題解決を図るのが狙い。実験は今月28日まで続ける。
電子タグを貼付した商品のイメージ(NEDO提供)※クリックで拡大
実験は昨年に続き2回目で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や大日本印刷などと連携。まず食品卸や小売りの物流センター、工場などで電子タグを貼り付けた商品を入出荷する際、登録しているデータを読み取り、情報共有システムに蓄積。商品がいつどこにあるのかという流れが可視化できるかどうかの効果を検証する。流通経路の履歴を追えるかどうかも確認する。
併せて、コンビニエンスストアやドラッグストアの店頭で、電子タグを付けた商品の消費・賞味期限を管理し、期限切れが迫った商品については購入時に値引きしたり特別にポイントを付与したりすることをユーザーにLINEで自動的に連絡。期限切れ間近の商品購入を促し、食品ロスの削減効果を見極める。
対象店舗では同時に、電子タグが付いている商品を来店者が手に取ると、棚の前に設置しているデジタルサイネージ(電子看板)がその商品を紹介する動画を配信。広告の最適化が可能かどうかをテストする。
他にも、東京・霞が関の経産省本館1階ロビーで、電子タグの情報読み取り機能を備えた冷蔵庫を展示。電子タグが付いた商品を中に入れるとタブレット端末に商品の情報を表示する。
東京ガスの横浜ショールーム(横浜市)でも、商品とごみ箱に電子タグを取り入れ、分別の仕方を自動的に指南してくれる「スマートごみ箱」などの一般家庭向けサービスを体験することが可能。
経産省は有力コンビニ5社と2025年までに年間1000億個と推測される全ての取り扱い商品に電子タグを用いることで合意するなど、電子タグの普及支援に本腰を入れている。依然割高な価格などがネックとなっている状況を改善できるかどうか、普及に向けて正念場を迎えているといえそうだ。
(藤原秀行)