電動トラック普及促進へ、大規模荷主企業に物流拠点の急速充電器整備要求を検討

電動トラック普及促進へ、大規模荷主企業に物流拠点の急速充電器整備要求を検討

経産省、改正省エネ法に基づく「中長期計画」で

経済産業省は、製品や原材料の輸送量が多い荷主企業に対し、電動トラックの急速充電器を物流拠点に設置するよう求める方向で検討に入った。

電動トラックの利用を広げていく上では充電インフラの普及が課題となっているため、物流拠点で荷物の揚げ降ろしを行っている際にトラックを充電できる体制を整え、物流領域でトラックの電動化を加速させるのが狙いだ。

11月17日に開催した総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機会)の省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会 荷主判断基準ワーキンググループ(WG)で、資源エネルギー庁が今年5月の通常国会で成立した改正省エネ法に則り、石油などとは異なる「非化石エネルギー」の利用促進のための方策案として提示した。

改正省エネ法は、年間の貨物輸送量が3000万トンキロ以上の「特定荷主」に対し、2030年度までに利用するエネルギーを非化石由来のものに転換していくための中長期計画を作成するとともに、その進捗状況を定期的に報告するよう義務化することを盛り込んでおり、23年4月1日に新制度を施行する予定。特定荷主はメーカーや大手小売事業者など約800社に上る。

エネ庁の提案は中長期計画に盛り込む目標として、特定荷主のエネルギー使用量に応じ、荷揚げ・荷降ろし中の充電が可能な急速充電器を物流拠点に設ける数を設定することを想定。エネルギー使用量が100万ギガジュールごとに1カ所という案を例示した。この設定では、約800社の特定荷主の9割超に相当する約760社が1カ所になる見通しだ。

水素を用いるFCV(燃料電池車)に関しては、水素充填インフラに同様の目標を設けるかどうか、今後さらに検討することを打ち出している。

中長期目標に関しては、政府が目標達成を後押しするため、必要に応じて荷主へ助言・指導するとともに、取り組みが不十分と判断すれば荷主に勧告、社名公表に踏み切ることも盛り込んでいる。

エネ庁の提案は併せて、特定荷主の中長期目標に関し、荷主が車両総重量8トン以下のトラックのうち、電動トラックが占める割合についても30年度の目標を設定することを念頭に置いている。「電動」の対象はEVやFCV、PHEV(プラグインハイブリッド車)、バイオ燃料・合成燃料車と説明しており、HV(ハイブリッド車)については対象に含めるかどうか今後検討する。

特定荷主が実施するトラック以外の鉄道や船舶による輸送については、定量的な目標を設定するのが難しいと指摘、LNG(液化天然ガス)燃料船の普及への協力など、定性的な目標を設定することを提案している。

(藤原秀行)

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