都労委、「ギグワーカー」めぐり初の判断
東京都労働員会は11月25日、フードデリバリーサービス「ウーバーイーツ」を担う配達員が労働組合を組織して団体交渉を求める権利があると認定し、同サービスを運営しているUber Japan(ウーバー・ジャパン)とUber Eats Japan(ウーバー・イーツ・ジャパン)に対して、配達員らが結成している「ウーバーイーツユニオン」からの報酬や事故時の補償などに関する団体交渉要求に応じるよう命令書を出した。
都労委は組合側の主張を認め、オンライン経由で単発の仕事を請け負う配達のギグワーカーが労働組合法上の労働者に当たると判断した。ギグワーカーを明確に労働者とみなす法的な判断が出たのは初めて。
ウーバーイーツユニオンは団体交渉を運営会社側に求めていたが拒否されたため、2021年3月、都労委に運営会社の不当労働行為の救済を申し立てた。運営会社側は、配達員は個人事業主で、働く時間や場所を自分で選んだり、仕事の依頼を拒否したりできるため、労働組合法で保護の対象と定める労働者には該当しないと主張していたが、都労委が退けた。
都労委は命令書で、労働者と認めた理由として、配達員は業務の遂行に様々な形で関与しており、広い意味で運営会社の指揮監督下の労務提供が認められていることなどを列挙。運営会社も労働組合法上の「使用者」に該当し、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるとの見方を示した。
運営会社側は命令書の内容に不服の場合は、命令書が出た翌日から15日以内に中央労働委員会へ再審査を申し立てることが可能。東京地裁へ命令取り消し訴訟を起こすこともできる。
(藤原秀行)