官民検討会、持続可能性向上の中間取りまとめ骨子案を提示
国土交通、経済産業、農林水産の3省は12月13日、物流が直面している人手不足など諸課題を解決し、持続可能な物流を実現するための具体策を官民のメンバーで検討する「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の会合を開催した。
3省は物流の持続可能性を高めるための具体策を提示する「中間取りまとめ」の骨子案を提示。「物流の危機的状況に対する消費者や荷主企業の理解が不十分」と指摘し、意識を高めていく必要性があることを明言。
政策の方向性として、既に多く存在している物流の業務標準化のガイドラインなどが有効に機能するようインセンティブ(誘因)を設定するとともに、新たな規制など、より実効性のある措置を検討していくことを盛り込んだ。
講じる方策は「荷主企業や消費者の意識改革」「物流プロセスの課題」「物流標準化・効率化の推進に向けた環境整備」のそれぞれで打ち出していく方針を示した。
検討会は2023年1月中をめどに中間取りまとめを決定したい考え。
(骨子案資料より引用)
骨子案は、NX総合研究所の試算を基に、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」の結果、現状では大幅な輸送力不足が起こる可能性があると警鐘を鳴らした上で、
・消費者も物流のステークホルダーとして対応を議論する必要がある
・荷主企業や消費者の 2024 年問題の認知度も低い
・物流に対する経営層の意識をさらに高めることが重要
――との問題意識を提示。
「自覚がない着荷主などを動かすための対策が必要」「着荷主に対して、物流改善の取り組みを直接義務付ける法律が存在しない」「トラック業界の多重下請構造により、実運送者が適正な運賃を収受しづらい状況にある」などと課題を列挙した。
他にも、積載率の低さや標準化の遅れ、長時間労働・低賃金などの問題が依然存在していることに言及。今後の方向性として、物流に関する広報推進、荷主の経営者層の意識改革を促す措置、消費者に求められる役割などを検討するほか、トラックの待機・荷役時間の削減に資する措置や納品回数減少、物流コスト可視化などの検討も進めることを盛り込んだ。
さらに、デジタル技術を活用した共同輸配送・帰り荷確保、物流拠点ネットワークの形成の支援、省エネ化・脱炭素化の推進に向けた環境整備などについても検討するよう整理している。
(藤原秀行)