ドローン飛行の「レベル4」解禁受け、技能講習の認定スクール活動支援を拡充

ドローン飛行の「レベル4」解禁受け、技能講習の認定スクール活動支援を拡充

JUIDAが表明、操縦者らへの飛行日誌作成などサポートも展開加速

ドローンの産業利用促進を図る日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は11月1日、東京都内で、ドローンの操縦技能を教えるJUIDA認定スクールのイベント「JUIDA認定スクールフェスタ2022」を開催した。

登壇したJUIDAの鈴木真二理事長らは、ドローンが人口密集地上空を目視外飛行する「レベル4」の解禁を画期的なことと評価。レベル4の安全な実施を下支えするため、関係者が技能や知識を習得できるようにするJUIDA認定スクールの活動をより支援していく方針を表明した。

さらに、運行管理の効率化などを通じ、実務を担うドローン操縦者らへのサポートも拡充したいとの考えを強調した。

「飛行日誌」作成を容易に

鈴木理事長は、JUIDAの認定スクールが全国で300を超え、JUIDAの会員も2万3000人を突破したことを報告。「(会員の伸びは)非常に驚くべきこと。高い操縦技術を備える人材を輩出してきた認定スクールが、さらにその知見を広めていただけることを期待している」と語った。

来賓として、内閣官房小型無人機等対策推進室(ドローン室)の小熊弘明参事官、経済産業省製造産業局次世代空モビリティ政策室の宇田香織室長、国土交通省航空局安全部無人航空機安全課の梅澤大輔課長がそれぞれ祝辞を述べるとともに、ドローンの産業利用拡大の地ならしとして取り組んでいる施策を報告した。

小熊氏は政府の防災基本計画で災害時のドローン活用を位置付けていくことや、安全性担保のため人が少ない河川上空の飛行を促進するための環境整備を図っていることなどに言及。今年9月に初の試みとして、地方自治体の担当者らも参加した「ドローンサミット」を神戸で開いたことにも触れ、今後も年1回実施していく方針を示した。

宇田氏は、経産省として主に技術開発の面で協力していることを紹介。ドローンや「空飛ぶクルマ」の利用促進のため「次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト(ReAMoプロジェクト)」として、1人の操縦者が複数のドローンを運航できるようにするための技術や安全性評価の手法開発などを図っていることを強調した。

梅澤氏は今年6月に始めたドローンの機体登録制度で登録した機体が10月末で32万に到達しており、レベル4飛行に不可欠な国家免許の操縦ライセンス制度の講習を手掛ける登録講習機関の申請も300を超えていると解説。実際のレベル4の飛行開始のための土台作りが着実に進んでいることをアピールした。

JUIDAの熊田知之事務局長は、認定スクールで取り扱っている「無人航空機操縦技能証明証」「無人航空機安全運航管理者証明証」の民間資格制度を今後も維持し、国家免許の操縦ライセンスとすみ分けていく方針を説明。今後のJUIDAの役割として「登録講習機関を希望されるスクールに特別なサービスを提供しようということを考えている」と訴えた。

具体策として、国家免許の操縦ライセンスに対応したテキストの準備、登録講習機関の申請に必要な書類作成、講師の育成・紹介、登録講習機関に対する監査をクリアできる体制の確立などをサポートしていくと列挙。専門的な用途にも対応するため、今後は高層建築物のドローンによる外壁調査に関する技能養成のコースを近く設立することや、航空分野で安全運航を確立するための操縦クルーらの管理手法「CRM(クルー・リソース・マネジメント)」を学べるコースの導入を検討することも明らかにした。

また、操縦者らが作成を求められる「飛行日誌」についても、新たなサポート体制を提供できるよう準備を進めていることを紹介した。

人材育成などに貢献したJUIDA認定スクールへの表彰式では、最高賞のゴールドを「秋葉原ドローンスクール」(東京)、シルバーを「拝島ドローンスクール」(東京)、ブロンズが「ドローンスクール&コミュニティ空ごこち大阪校」(大阪)にそれぞれ進呈。

スクール独自の活動を含めて評価する理事長賞はNEXAIRS DRONE ACADEMY(東京)を選出した。特別賞にはOceanOneDroneSchool(徳島)、星翔高校ドローンスクール(大阪)を選んだ。


イベント会場

(藤原秀行)

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