ENEOSHDで自動デリバリー実用化に取り組む片山氏、ニーズ獲得を確信
ENEOSホールディングス(HD)でZMP製宅配ロボット「デリロ(DeliRo)」を使った自動配送サービスの実用化に取り組んでいる未来事業推進部事業推進3グループの片山裕太シニアスタッフはこのほど、ロジビズ・オンラインの取材に応じた。
片山氏は、これまでの実証実験でロボット宅配のニーズが確認できたため、ZMPや即時配送を担うエニキャリと組み事業化に向けて進んでいると説明、サービス展開する地域のニーズ獲得に確信している姿勢を見せた。
また、昨年12月から今年3月まで東京の佃・月島・勝どきエリアで続けている実証実験の中で、今後は保安要員が随行せず、ロボット単独で街中を移動する形にトライするとともに、遠隔監視員1人で複数のロボットを管理する「1対多」の運営に移行することでオペレーションコストを低減、事業として採算を取ることができるようにしたいと決意を表明した。
注文に備えて待機中のデリロと片山氏
片山氏は、「1対多」の運行形式について「(実証実験は当初)4台で運行している。ロボットが最低でも10台くらいは必要だと思っている。ビジネスの鍵になるのがそこだ」と解説。ロボット宅配を持続可能な形にするため、ロボット運行の効率化を現状以上に推し進める必要があると指摘した。
また、ZMPやエニキャリとも連携し、注文が入ると配達先の住所などを考慮し、どのロボットに配達を割り振るのが最適かを自動的に判断するシステムの確立に取り組んでいると説明。「実証実験の期間中にブラッシュアップしている段階であり、現状はワーク(機能)している。システムの構築に向けて動いていけているとの印象だ」と前向きな見方を示した。
実証実験でロボットの待機場所としてエリアのガソリンスタンド(サービスステーション、SS)を使っていることについては「特約店さん自身も全体的なトレンドとして、脱炭素の流れの中で(給油に加えて)新しいビジネスを(考える必要がある)というところは課題意識を持たれている印象」と語り、宅配ロボット管理を担うことで地域に貢献する拠点として価値を高められるようにしたいとの思いを明かした。
昨年12月に始めた実証実験に関しては「アプリなどシステム面のトラブルはゼロではないが、ロボットが動く中で事故が起きたことはこれまでの運用ではない」と強調した。
今後の展開としては「ロボットと今作っているシステムが有効活用できるところがあれば、こういう(ロボットのような)ものはどんどん広げていきたい」と述べ、様々なエリアへの横展開を目指す姿勢を訴えた。
都心の下町エリアの歩道を自動で走るデリロ。街の風景に溶け込んでいる
(藤原秀行)