将来の燃料活用拡大見込み、確実な実用化目指す
三菱重工業グループの三菱造船は2月3日、船舶向けにアンモニア燃料を供給することが可能な「アンモニアバンカリング船」のコンセプトスタディーをこのほど完了したと発表した。
将来の普及が見込まれるアンモニアを燃料とした船舶への燃料供給需要に応えるため、エネルギーの安定供給で多くの実績と経験を持つINPEXと共同で検討を進めた。
アンモニアは燃焼してもCO2を排出しないため、安定的なクリーンエネルギーとして活用が見込まれ、海運業界の温室効果ガス排出削減に大きく寄与すると期待されている。
三菱造船はアンモニア輸送が可能な多目的液化ガス運搬船の設計・建造の知見を十分に生かし、タンク容量と操船性能の確保、アンモニア燃料船との整合性に配慮した設備配置など、柔軟性の高いアンモニアバンカリング船のコンセプト検討を進めた。
三菱造船は、今回得られた知見や技術課題を踏まえてさらに技術検討を図り、関係する海事関連企業との協働などを経て同船の製品化を目指す。また、バリューチェーン全体を踏まえた顧客ニーズに柔軟に対応するため、様々な船型の検討にも引き続き取り組む方針。
今後も海洋システムインテグレーターとして、アンモニアバンカリング船にとどまらず、代替燃料船・機器についても開発・事業化を積極的に推進し、脱炭素社会実現への貢献を目指す。
「アンモニアバンカリング船」のイメージ図(三菱造船提供)
(藤原秀行)