積雪寒冷地の課題解消へ、北海道内で実証実験中
花王は2月8日、アスファルト改質剤「ニュートラック 6000SMA」を新たに発売すると発表した。特徴として、廃棄されるPET素材を原料に活用しながら、積雪寒冷地の道路課題解決と耐久性向上を実現すると説明している。
アスファルト舗装では、アスファルトと骨材の間に隙間(空隙)が生じることがある。積雪寒冷地は空隙があると内部に浸入した水が凍結融解し、体積の変化が繰り返されることで穴(ポットホール)が発生しやすくなる。
そのため、今までは多量のアスファルトと保持するための植物繊維を舗装材料として使い、空隙が少なくなるよう施工してきた。
「ニュートラック 6000SMA」は骨材とアスファルトの密着性を高めることで、舗装の空隙抑制だけでなく、耐久性向上も可能にするのがメリット。独自の技術が評価され、公道での実証実験などにも試験採用されているという。
ポットホールの例
既存の「ニュートラック 5000」の高耐久性能を引き継ぎながら、骨材へのアスファルト被膜を強く・厚くする剥離抵抗性能を向上させている。水浸下の走行荷重試験では、通常の舗装に比べ内部への水侵入を防ぐ効果が2倍以上高まることを確認したという。
アスファルト舗装の内部の断面
新製品はアスファルトと骨材を混ぜる過程に加えるだけで使えるようになり、特別な工程や技術は不要。粉状のため、舗装内への分散性も優れ、空隙が少ない高品質な舗装の施工が可能。
2022年8月に北海道の帯広・広尾自動車道370㎡(芽室帯広IC~帯広川西IC間)の試験施工に採用された。試験施工は、寒冷地舗装の長寿命化技術の検討を目的としており、継続的に舗装の状態を調査する予定。
(藤原秀行)