インドネシアのプロジェクトで創出の排出枠活用し相殺
商船三井と神戸製鋼所は3月9日、オーストラリアから日本への鉄鉱石海上輸送で使用した燃料のCO2排出分を、インドネシアのRimba Raya Biodiversity Reserveプロジェクトから創出したボランタリーカーボンクレジット(排出枠)を使ってオフセット(相殺)、“カーボンフリー航海”を実現したと発表した。
実際のボランタリーカーボンクレジットを活用したオフセット航海は、商船三井が運航し、神戸製鋼所との鉄鉱石長期輸送契約に専属で従事するケープサイズバルカー「神山丸(しんざんまる)」で実施した。
兵庫県加古川市の「神戸製鋼所加古川製鉄所」を出港後、豪州のポートウォルコット港で鉄鉱石を積み、加古川製鉄所で荷揚げを完了する約6週間の航海となった。この間、神山丸が排出したCO2量は、燃料油の製造から本船で消費するまでの全過程で約2875tだった。
今回使ったクレジットは国際的なカーボンクレジット基準管理団体Verra(ヴェラ)の認証を受け、過去5年以内に創出されたもの。加えて、このプロジェクトはCO2の排出削減に寄与するだけでなく、生物多様性の保全や地域住民の雇用創出といった相乗便益に貢献している。
鉱石輸送専用船 神山丸
Rimba Raya 生物多様性保護区 © Infinity Earth
活用したカーボンクレジットの概要
プロジェクト名 | Rimba Raya Biodiversity Reserve Project |
国・地域 | インドネシア |
クレジット数量 | 2,933トン(認証規則により排出量の102%を償却) |
クレジット創出年 | 2018年 |
クレジットタイプ | Agriculture Forestry and Other Land Use (REDD+) |
認証プログラム | Verified Carbon Standard |
認証団体 | Verra 米国ワシントンDCに本社を置く国際的なカーボンクレジット基準管理団体。気候変動対策活動から得られる排出削減量・吸収量を認証し、クレジットとして発行させる認証スキーム「Verified Carbon Standard(VCS)」を管理・認証する。VCSは、世界で最も広く使用されており、民間企業等で利用されている。 |
概要 | 生物多様性に富むインドネシア カリマンタン島の泥炭湿地林保護プロジェクト。SDGsへの貢献を証明するSD VISta認証(Sustainable Development Verified Impact Standard)を17項目全てで取得している他、プロジェクトが気候変動、生物多様性、地域社会にもたらす便益に関する評価基準であるCCB認証(Climate Community & Biodiversity Standard)においても、最上位のゴールドを取得している。 |
神山丸の概要
本船スペック:建造造船所 今治造船株式会社 広島工場
竣工年 2016年
載貨重量トン 215,790トン
全長 319.95メートル
全幅 55.00メートル
満載喫水 16.25メートル
本船概要 :現在の神山丸は三代目で、商船三井の前身の一つである山下新日本汽船株式会社の時代から神戸製鋼所向け基幹船隊として原料輸送を担う。なお、1968年竣工の初代から1987年竣工の二代目を経て、現在の三代目に受け継がれる伝統の船名。
(藤原秀行)※いずれも商船三井提供