商船三井など6社が国内初、メタノールを燃料とする内航タンカーの建造決定

商船三井など6社が国内初、メタノールを燃料とする内航タンカーの建造決定

温室効果ガス排出大幅削減図る、24年12月竣工予定

商船三井、商船三井内航、田渕海運、新居浜海運、村上秀造船、阪神内燃機工業の6社は3月23日、メタノールを舶用燃料に使用するエンジン搭載の内航タンカーを建造すると発表した。6社は既にメタノール燃料の内航タンカー開発に関する戦略的提携を締結済み。

本船は商船三井内航と田渕海運、新居浜海運の3社が共同保有する。3社は2022年12月28日に村上秀造船と建造契約を締結した。村上秀造船グループのカナサシ重工が建造し、2024年12月に竣工する予定。

本船は3社から新居浜海運に裸用船され、さらに田渕海運を通じて商船三井内航へ定期用船される。商船三井内航は三菱商事と定期用船契約を締結し、本船は竣工時から国内メタノール輸送に従事する予定。

戦略的提携に基づき、商船三井は本船開発の技術面におけるサポートと本戦略的提携の推進・展開を、阪神内燃機工業はメタノール舶用燃料エンジンの開発をそれぞれ担う。

メタノールは、現在の主な船舶燃料の重油と比較すると、燃焼時の硫黄酸化物(SOx)排出量を最大99%、粒子状物質(PM)排出量を最大95%、窒素酸化物(NOx)排出量を最大80%、二酸化炭素(CO2)排出量を最大15%削減できる見通し。

メタノール燃料は既に実用化されており、世界で主要な130港程度で供給・補油が可能。多様な排出源から回収したCO2と再生可能エネルギーを利用して製造された水素を合成し、生産されたeメタノールや、バイオガス由来のバイオメタノールなど、非化石原料由来のメタノールを活用すれば、排出されるネットの温室効果ガス排出量をさらに削減できるという。

メタノールは、環境負荷の低い燃料として商船三井グループで運航する5隻を含めて外航船での利用が広がっているが、内航船では本船が初めて。

本船の開発に関しては経済産業省および国土交通省公募の「AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業費補助金(内航船の革新的運航効率化実証事業)」の採択を受けている。

【本船概要】
総トン数    約570トン
全長 約65.50m
全幅 10.00m
喫水 約4.38m
航海速力  11.15ノット以上
主機関 阪神内燃機 船舶用メタノールエンジン「LA28M」1基

【役割分担】

(藤原秀行)※いずれも商船三井提供

テクノロジー/製品カテゴリの最新記事