改正道交法施行、都心部でサービス拡大に期待
改正道路交通法が4月1日に施行され、宅配ロボットが公道を自動走行することが解禁される。荷物や料理などの宅配現場は人手不足が深刻化しているため、自動化でカバーできるようにするのが狙い。
既に首都圏など各地で実証実験が広がり、試行的にサービスが始まっている地域もある。今後は都心部でロボットを使った宅配のシーンが広がることが期待される。
経済産業省前に集結した各社の自動宅配ロボット(経産省提供)
改正労働者派遣法など関連法令は宅配ロボットなどを「遠隔操作型小型車」と区分。歩行者や車、建物との接触・衝突といったトラブルを避けるため、宅配ロボットの最高速度は人の早歩き程度の時速6km以下と設定する。走行の際は歩道を通り、信号に従うなど歩行者と同様のルールを守ることを義務付ける。
宅配ロボットの大きさは長さ120cm、幅70cm、高さ120cm(ヘッドサポートを除いた部分)を超えないよう規定。電動車いす程度のサイズとする。触れた歩行者がけがをするような鋭利な突出部を設けないことも条件に設定する。
このほか、非常停止装置の基準として押しボタン式に限定し、取り付けてある場所がすぐに分かるよう周囲の部分と色を変えることや、指定する標識をロボット本体に取り付けることも求める。宅配ロボットを使う事業者は、走行する公道を管轄している都道府県公安委員会へサービス開始前に通行するルートや非常停止装置の位置などを届け出ておくよう義務化する。
楽天グループは昨年11月、茨城県つくば市で自動配送ロボットを使い、公道を通って小売店や飲食店の商品を購入した人の自宅などに届ける定常的な配送サービスを始めると公表。自動配送ロボットには常時、保安要員が同行しているが、4月1日以降は完全に無人でデリバリーできるようにする予定。つくば市を手始めに、他の都市にも展開していくことを目指す。
楽天グループの自動配送ロボット(昨年11月撮影)
ENEOSホールディングスは昨年12月から今年3月までの間、東京都中央区の佃・月島エリアで宅配ロボットなどを手掛けるZMP、即時配達を展開しているエニキャリと組んでZMP製自動宅配ロボットを活用したデリバリー事業の実証実験を継続。2023年度中のサービス開始を目指している。地域のサービスステーション(SS)を自動宅配ロボットの待機・充電拠点として活用する方向だ。
ENEOSHDなどが展開した実証実験の様子(今年1月撮影)
自動宅配ロボットのメーカーなどは昨年1月、早期に宅配ロボットサービスの普及を目指す業界団体「ロボットデリバリー協会」を立ち上げた。事業者が安全に宅配ロボットを使ったサービスを展開できるよう、安全運営のガイドラインを作成し、経産省などと連携し、安全にサービス展開する成功事例を積み重ねていきたい考えだ。
(藤原秀行)