いすゞと共同開発し13年ぶり市場投入、省燃費にこだわり
UDトラックスは4月4日、親会社のいすゞ自動車と共同開発した旗艦モデル「Quon(クオン)」の大型トラクターヘッド(けん引車)「Quon GW 6×4新型トラクター」を同日発売したと発表した。
UDトラックスが新型のトラクターヘッドを市場に投入するのは13年ぶり。最大530馬力とパワフルな走りを可能にした一方、省燃費にこだわっているほか、悪路でも走りやすい機能を持たせたのが特徴。
トラックドライバーの長時間労働規制が強化され、物流現場の混乱が懸念される「2024年問題」など多くの課題を抱える物流業界の現状を考慮。トラックメーカーとして車両の性能を高め、ドライバーの疲労軽減と輸送品質向上に貢献していくことを目指す。
UDトラックスが同日、茨城県城里町の日本自動車研究所城里テストセンター内で開催したメディア向けの発表会で、同社の丸山浩二社長は「重量物を運ぶプロのドライバーがより運転しやすいトラックに乗ることで、運転に伴う疲労を少しでも軽減し、明日の活力になるようにしていただきたい」と強調した。
車両イメージ(写真はいずれもUDトラックス提供)
「Quon GW 6×4新型トラクター」は総排気量13リットルの「GH13エンジン」を採用。12段電子制御式オートマチックトランスミッションは従来の「ESCOT-Ⅵ」をさらに進化させ、より素早く滑らかな変速を可能にした「ESCOT-Ⅶ」を搭載している。
GH13エンジン
ESCOT-Ⅶおよび大容量流体式リターダー
2021年以降、一部車種に使ってきた電子制御ステアリング「UDアクティブステアリング」を標準装備。低速走行時は軽く回せるようにしたり、高速走行時は適度な重さにして直進の安定性を確保したりと、走行のシーンや速度域に応じてステアリングの重さを制御し、疲労の軽減と安全確保をサポートしている。バックや交差点の旋回の際、ステアリングから手を離すと自動でニュートラル位置まで戻るようにするなど、細かく配慮している。
新たに採用している大容量流体式リターダーは重量物を輸送する際、降坂時でも高い制動力を実現。エンジンブレーキと国産車で唯一採用されているディスクブレーキを組み合わせ、確実で優れた制動力を発揮する。バイパスなどの勾配を下る際にも最小限のフットブレーキで車速を維持しながら制御できるのが強み。
大容量流体式リターダーによる減速イメージ
さらに、第五輪荷重16トンと18トンクラスの国産車として、リヤエアサスペンションを初めて設定。精密機器などの輸送にも最適な状況を生み出している。鋼材などの重量物を積載しても、固縛ワイヤーの緩みが少なくなるという。空車時の快適な乗心地もドライバーの疲労を大幅に軽減できると見込む。
リヤエアサスペンション
(藤原秀行)