貨物軽自動車運送事業者の安全確保へ新制度検討

貨物軽自動車運送事業者の安全確保へ新制度検討

国交省が表明、23年度中の結論目指す

国土交通省は5月16日、貨物軽自動車を使った運送事業者の安全確保を目指す「貨物軽自動車運送事業適正化協議会」の第2回会合を開催した。

国交省自動車局の担当者はこの中で、軽貨物自動車の死亡・重傷事故件数が増加傾向にあることを踏まえ、貨物軽自動車運送事業者を対象とした安全対策強化を検討していく方針を説明。

具体策として、事業者向けに所属しているドライバーの安全運転指導や監督実施のためのマニュアルを2023年度中に作成することを報告した。

併せて、現状では運行管理者の選任や事故の報告、初任ドライバーへの特別指導が義務化されていないなど、一般貨物自動車運送事業者ほど運行管理の安全規制が厳しくないことを踏まえ、安全確保のために必要な制度の在り方を検討、22年度中に結論を出す方向性も示した。

個人事業主がインターネットを介して安全運転の知識を学習できるeラーニングの展開、運行管理セミナーの開催なども検討していく。

また、改正貨物自動車運送事業法に則り24年3月までの時限措置として実施している、運送事業者の違法行為を助長していると認められる荷主企業や元請けの運送事業者に改善を要請・働きかける制度について、国交省のツイッターアカウントで定期的に周知していくことも報告した。軽貨物自動車運送事業者についても、同制度の運用対象になることを訴えていく見通し。

同協議会はインターネット通販の利用拡大を受け、軽貨物自動車による運送事業者が増えるなど環境変化を考慮し、輸送の安全担保やドライバーの長時間労働抑制などについて、官民双方から関係者が一堂に会し、積極的に情報共有や意見交換を図ることができるよう後押しするのが狙い。1月に初会合を開いた。

第2回の会合には元請けの運送事業者としてヤマト運輸と佐川急便、SBS即配サポートの幹部が出席。併せて、アマゾンジャパンやCBcloud、ハコベル、日本フードデリバリーサービス協会、ウーバージャパンの担当者が参加した。政府側からは国交省と厚生労働省、内閣官房の幹部が加わっているほか、オブザーバーとして全日本トラック協会も名を連ねている。

(藤原秀行)

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